地下10m。分厚い混凝土(ベトン)の壁に覆われた『かの国』のミサイル地下格納庫(サイロ)は、発射管制室とミサイル発射格納庫の2つの設備からなっていた。無人化によって、戦争の最前線で人間は戦わなくなった。しかし、最高意志決定機関と、核のボタンを握っていたのは、いまだに人間だった……。
発射管制室は、4交代制24 時間体制で稼動し、指令があればすぐにでも発射できる体制にある。
「ミサイル発射指令が出た。ロックを解除せよ」
極東委員会からの発射要請を受け、管制室では管制官がキーロック解除作業者2名に指示を出す。2人は、離れた場所に設置されている鍵を、呼吸を合わせて回し、ミサイル発射安全装置を解除する。
「Launch(発射)!」
発射管制官の合図のもと、発射ボタンが押された。けたたましい「ビー!!」という大きな音が管制室に響き渡り、ミサイル発射が最終段階を迎えた。
地下格納庫の発射孔が開くと、核を搭載した大陸間弾道ミサイル《アーレスⅡ型ミサイル》が12 発、空を睨む形で露わになる。核ミサイルを取り囲むように設置されている開閉式の作業台からは、防護服とヘルメットを被った作業員たちがいっせいに避難を開始する。
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