分厚い雲の切れ間から現れた無人爆撃機《フォボス》の第一波が、雨あられと照明弾を落としていく。空中で爆破し、まばゆいばかりの閃光が暗闇に次々と咲き、昼間のように環状2号線地区を照らす。
つづく爆撃機の第二陣が、誘導ミサイルを積載して《エスピランサ》の上空に殺到した。
「欺瞞(チャフ)レーザーを展開!」
《エスピランサ》の反射装置(リフレクター)が展開し、周囲に欺瞞(チャフ)レーザーの散布を開始した。欺瞞(チャフ)が赤外線誘導ミサイルを狂わせ、錐もみになって落下させていく。しかし、逸れたミサイルが《エスピランサ》周囲に着弾。爆発の衝撃波が発艦したばかりの《エスピランサ》を右へ左へと揺らす。
一瞬、足が浮くような大きな揺れに見舞われた艦内にどよめきが走り、各員はなにかにつかまっていないと姿勢を保てないほどだった。
もし直撃すればどうなるのか――敵の攻撃のすさまじさに、誰もが内心でそんな仮定を展開している。そんな艦内要員の不安な表情を横目に鷲尾は、
「攻撃は逸れてる!! 3分だ! 主機起動まで3分、なんとか持ちこたえろ! 動力確保と同時に砲塔へ動力伝達。反撃する!」
砲雷長が目で合図して、了解の意を伝えてくる。
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