旧東京に《エスピランサ》が着陸してからすでに半日。『アポロン』東京支部から充填された工作要員によって主機及び補機の整備は急ピッチで進められていた。整備班もようやく交代制が敷かれ、ヒロは2時間の休憩を与えられていた。

売国奴のシェルターを出てからというもの、ここまで一睡もしていない。身体を休める意味でも寝ておかなければならなかったが、ヒロはどうしても彼女――ナナに一目会っておきたかった。

生死を賭けた整備作業を共にしていれば、それなりの連帯感、仲間意識も芽生えてくる。顔見知りになった何人かの整備要員にナナのことを訊ねたヒロは、叛乱を起こした彼女が幽閉されていることを知った。

「どういうことなんですか……」

自分に言われてもしかたがない、とヒロのやり場のない怒りをやり過ごした整備要員は、「彼女の処置のために、支部から医療班が乗り込んでくるらしい。機関長が『主機を荒らされる』とか騒いでたぜ」と応えた。

「医療班……?」

「検体No.07の調整をするんだとさ」

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