旧東京上空にさしかかった《エスピランサ》は、暗黒に飲まれた街並を俯瞰していた。かつて不夜城とも謳われたこの街には、大粒の雨が土をえぐったかのように、点々と巨大クレーターが穿っている。かつての日本の首都、未来都市・東京は瓦礫と砂礫とに覆われた廃墟の街に変貌していた。

大戦前の地図を元に、環状二号線虎ノ門地区の座標を割り出した《エスピランサ》は、地下通路へとつづく入り口の前――旧六本木の高層ビル群を隠れ蓑にするように着陸したのだった。

ガスマスクを装着した鷲尾副長以下、《エスピランサ》の要員と、冷泉艦長は、投光器の照らす地下壕入口の前に立って、その重厚な鉄扉を見あげた。

『オプト・クリスタル』を盾に叛乱を起こした検体(サンプル)No.07は、現在、艦内で拘束されている。鎮静剤を打たれ、拘束着を着せて監禁中との報告を聞いた鷲尾副長は、《響ⅩⅢ号システム》に抱いていた不安、すなわち、『オプト・クリスタル』に感応する少女の必要性という不確定要素への不信が現実となり、しかもどうにもこうにも手を打てないでいる様々な懸案事項を、ため息で誤魔化したのだった。

「旧東京本部の地下には、検体(サンプル)の研究所もあると聞く……」

鷲尾のため息を隣で聞いていた冷泉艦長が言った。

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