ナナは主機(メインエンジン)《響XⅢ号システム》の潜水球(バチスフィア)内に立てこもり、『オプト・クリスタル』との感応を解いていた。
「要求はなんなんだ?」
増幅集積室(チャンバー)の制御室にやってきた加奈とヒロは、作業要員に事の詳細を訊ねる。
「なんでも、艦長と話をさせて欲しいとかで……」
「だから、私が代わりに話を聞きに来た」
加奈が言うと、要員の代わりに
(あなたでは、だめ)
というナナの声がスピーカーから聞こえてくる。
「……ナナか?」
(わたしは、〝彼女〟の声を聞いたの……)
「〝彼女〟?」
その言葉をきっかけとして、加奈の脳裏で突然、14年前の事件が鮮明に甦る。諜報員7thであること、ましてや〝彼女〟の存在など知らぬ振りを貫くために、加奈は
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