《フォボス》の爆撃は小休止に入っていた。分厚いベトンの壁に囲まれた《アポロン》地下工廠は、まだびくともしなかった。
舞鶴元海軍工廠には、世界各国の原子力潜水艦や護衛艦の残骸が運び込まれていた。これは軍艦の建造ラインと同時に解体ラインを『かの国』が日本に確保するためで、また言ってしまえば体のよい核廃棄物の押しつけだった。
こういった廃棄物を埋めるために、堅牢に建設された地下施設は、いまは『アポロン』にとっての絶対防衛ラインになっているのだった。
「おそらく、敵は核兵器を使用するだろう」
冷泉艦長が攻撃休止の意図をそう裏読みする。
「生き延びた要員は、反重力レーザー爆縮炉(リアクター)の動力伝導に注力するように伝えろ。最優先だ」
「しかし、肝心要の燃料利得媒質(ペレット)が……」
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