地上につづくエレベーターを上がっていくと、低く爆発音の振動が連続して轟いていた。戦場が近くに迫っているのだった。
エレベーターを降りて、気密扉のハンドルを回して、地上に出る。日はすっかり暮れて一帯は真っ暗になっていたが、戦場だけは煌々(こうこう)と仮設照明と爆発の炎で照らされているのだった。
郷大跡地に立ちのぼる黒煙は、巨大な生き物のようにもくもくと天まで伸び、筒状戦車兵器の残骸が折り重なっている。
周囲に警戒の目を走らせつつ、ヒロは有刺鉄線に囲われた郷大跡地に向かっていく。硝煙の匂いとガソリンの匂い、それと熱風とが頬を打った。
有刺鉄線もまた爆発の火災で溶け、ねじ曲がっていた。ヒロはその間を縫って通り抜け、掘削現場に近づいていった。
上空を偵察ヘリが旋回している。投光器で現場を照らし、〝なにか〟を探していた。おそらくヘリも無人機だ。真っ暗闇のなかを投光器の明かりだけを頼りに状況報告するのは、人間よりも無人機のほうが適している。
少女だ。ヒロは愕然とした。彼女はたったひとりで筒状戦車兵器をなぎ倒し、彼らが警備する施設に侵入したのか……?
無料ユーザー登録
続きを読むにはユーザー登録が必要です。
登録することで3000以上ある記事全てを無料でご覧頂けます。
登録することで3000以上ある記事全てを無料でご覧頂けます。
- @optipedia.info ドメインより登録の手続きを行うためのメールをお送りします。受信拒否設定をされている場合は、あらかじめ解除をお願いします。
- Gmailをお使いの方でメールが届かない場合は、Google Drive、Gmail、Googleフォトで保存容量が上限に達しているとメールの受信ができなくなります。空き容量をご確認ください。