田中耕一は島津製作所に努める日本の化学者であり、現役サラリーマンとしてはじめてノーベル化学賞を受賞した事で知られる。ノーベル賞の受賞理由は、生体高分子の同定および構造解析のための主砲開発となっているが、そこでレーザーが活躍しているのである。
田中耕一などが開発したソフトレーザー脱離イオン化法はタンパク質の質量分析の発展に大きく貢献した。従来はタンパク質の分析のために必要なイオン化及び気化の際に高エネルギーをかけていたため、高分子量のタンパク質が気化されずに分解されてしまうという問題があった。
そこで、田中らはグリセロールとコバルトの混合物を熱緩衝材としてレーザーを照射する事で、タンパク質の気化・検出に成功した。この世界初の事例は、間違えてグリセロールとコバルトを混合したことで生じた結果であったというから不思議なものである。
現在、生物科学の分野では田中らの方法よりも高感度にタンパク質を解析することができるMALDI-TOM MSという方法が使われている。しかし、この方法を開発したドイツ人化学者らは田中らの研究功績を参考にした事を明示しているため、ソフトレーザー脱離イオン化法の功績は揺るぎないものであるといえるだろう。
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