媒質を連続体と考えれば、マックスウェルの方程式から、

Formula 4.74

(式1)

を得る。右辺の第2 項は、振動子モデルの減衰項に相当する。電界の時間変化によって交流電流が流れる。媒質は抵抗性であるから、光は熱エネルギーに転化される。
誘電率(従って屈折率)を複素量として再定義すれば、減衰を受けない波動方程式と同じ形にこの式を書き換えることができる。複素屈折率

Formula 4.75

(式2)

を非導電性媒質の場合の解に代入するだけでよい。式2で、nR・nIは共に実数である。y 方向に伝搬する平面波の電界は

Formula 番号なし(6)

あるいは

Formula 番号なし(7)

と書くことができる。屈折率n は複素数である。式2を用いて、

Formula 番号なし(8)

(式3)

あるいは、

Formula 4.77

(式4)

となる。波動はy 方向に速度c/nRで伝搬する。振幅 E0exp(-ωnIy/c) は指数関数的に減衰する。放射束密度Iは振幅の2乗に比例することから、

Formula 4.78

(式5)

となる。ここで、I0= I(0):境界面(y = 0)における放射束密度、α ≡ 2ωnI/c:吸収係数またはより適切にいえば減衰係数。表皮厚さまたは浸透深度とよばれる距離y=1/αを波動が伝搬すると、放射束密度はe-1 = 1/2.7≈1/3 に減衰する。金属に対する浸透深度は極めて小さい。波長μ0= 100 nm の紫外光の場合、銅に対する浸透深度は約0.6 nm、μ0= 10000 nm の赤外光でも約6 nm である。導体のもつ金属光沢は高い反射率による。金属表面近くの僅かの電子のみが侵入波動と相互作用する。
強く吸収したのち、エネルギーは散逸することなく反射波として再放射される。波長に依存せずほとんどのエネルギーを反射することから大部分の金属は銀灰色を呈する。金属を連続体として取り扱うことは、波長が長い赤外線領域では妥当である。しかし、波長が短くなるにしたがって媒質の粒子的性質が顕著となり、可視光域の実験結果は連続体モデルと一致しない。次の”分散方程式”の項では、古典的な原子描像に立ち返って考察する。しかし、実験データとの一致は定性的にとどまる。究極的な取り扱いは量子論を必要とする。

参考文献

E. Hecht 著、尾崎義治・朝倉利光 訳「ヘクト 光学 I 」第9版 丸善(2013)