式1の総和は、複素平面上のベクトル加算として図示できる。電気工学分野では複素振幅は位相子として知られる。大きさと位相を使ってE0∠αと略記することがある。

Formula 計算式なし(8)

で示される波動を考える。図1a には、角速度ωで反時計方向に回転する長さE01のベクトルを描いている。垂直軸への射影がE01sin(ωt + α1)となる。余弦波の場合は水平軸への射影を考えればよい。回転ベクトルが位相子 E01∠α1である。R・I は各々、実軸・虚軸を示す。

Figure 7.6

図 1 位相子の加算

第2 の波動

Formula 計算式なし(9)

をE1とあわせて図1b に示す。両位相子をベクトル加算して得られた位相子の虚軸への射影が、両波動の代数和E = E1+ E2となる(図1c)。辺長がE01・E02・E0の三角形に余弦定理を適用すると、

Formula 計算式なし (10)

を得る。この式は代数的方法の式9である。同様に、図からtan α が代数的方法の式10になることも分かる。例として、E1~E5の五つの波動の重ね合わせを示す。

Formula 計算式なし(11)

各々の位相子は、5∠0º・10∠45º・1∠-15º・10∠120º・8∠180º である(図2)。

Figure 7.7

図 2 位相子E01、 E02、 E03、 E04、 E05、の和

次に、周波数と振幅の等しく、位相がαずつ遅れている四つの波動の重ね合わせを考える(図3)。

Figure 7.9

図 3 同じ周波数の四つの正弦的波動の和

位相子法をより探求するために、ここでは原点を位相のゼロとし、それを基準に全てを参照する。波動E1は原点よりaだけ遅れている、すなわちこの波動の大きさはkxの値が0より大きいところでゼロである。しかも、各波動は先行する波動より同じ角aだけ遅れている。したがって、位相子E1を水平の基準線より下に描いてa遅らせる。他のすべての位相子は、同じ量だけ互いに順次遅れる。構成結果の位相子の長さは、合成した波動の振幅に等しくなる。合成波の位相子は E = E0∠ϕである。もっと多くの成分波があると、加算した位相子の先端は渦線を描き、E0は減少し出す。これは位相子の図示によって、波動表示よりも明瞭にわかる。

参考文献

E. Hecht 著、尾崎義治・朝倉利光 訳「ヘクト 光学 I 」第9版 丸善(2013)