微分波動方程式の解は、

Formula 7.2

(式1)

と書くことができる。x 方向に伝搬する振幅E0の波動を示す。位相の空間部分を

Formula 7.4

(式2)

とおくと、

Formula 7.4

(式3)

である。同一周波数の二つの波動、

Formula 7.5a

(式4)

Formula 7.5b

(式5)

があるとする。両者を重ね合わせた波動E は、

Formula 計算式なし(1)

で表される。式4と式5の和をとり、それぞれを展開すると、

Formula 計算式なし(2)

時間依存項を分離すると、

Formula 7.6

(式6)

括弧部分は時間に対して一定値なので、

Formula 7.7

(式7)

Formula 7.8

(式8)

式7・8からE0・αを求めると、

Formula 7.9

(式9)

Formula 7.10

(式10)

である。全体としての波動E は、

Formula 7.11

(式11)

である。

式(7.10)から分かるように、E01>> E02ならα ≈ α1であり、E02>> E01ならα ≈ α2である。合成波の位相は、振幅の大きな成分波の位相に近くなる。放射束密度は波動振幅の2乗に比例する。式9から分かるように、合成波の放射束密度は成分波の単純和でない。干渉項2E01E02cos(α2– α1)の寄与がある。重要な量は位相差δ ≡ (α2– α1)である。δ = 0, ±2π, ±4π,・・・のとき合成波の振幅は最大となり、δ = ±π, ±3π,・・・のとき最小となる。前者の場合は同位相とよばれ山と山が重なる。後者の場合、逆位相となり山と谷が重なる(図1)。

Figure7.2

図 1 同位相および位相ずれにある二つの調和波の重ね合わせ

位相差は、初期位相の差と経路長の差で決まる。

Formula 7.12

(式12)

あるいは

Formula 7.13

(式13)

である。ここで、x1・x2は二つの成分波の光源から観測点までの距離であり、λは媒質中の波長である。初期位相が同じであれば ε1= ε2であるため、
Formula 7.14

(式14)

である。真空中の波長λ0と媒質の屈折率n を用いると、式(7.14)は、

Formula 7.15

(式15)

である。n(x1– x2)は光路長差として知られ、OPD(Optical Path Difference)と略記したり、記号Λで表す。光路長差Λを用いると位相差は、

Formula 7.16

(式16)

となる。ここで、k0= 2π/λ0は真空中の波数である。ε1– ε2が一定であれば、二つの波動はコヒーレントであるという。興味ある場合の一つとして、僅かに異なる経路長Δx をもって同じ方向に伝搬する二つの波動の重ね合わせを考える。両成分波動の振幅E1・E2は、

Formula 計算式なし(3)

Formula 計算式なし(4)

となる。E01= E02の場合、α2– α1= kΔx であり、式9 – 式11から、

Formula 7.17

(式17)

となる。Δx << l であれば振幅はほぼ2E01であるが、Δx = λ/2 のときは、余弦項はゼロとなり E = 0 である。前者を強め合う干渉、後者を弱め合う干渉と称する。

多くの波動の重ね合わせ

同一周波数で同一方向に伝搬するN個の波動の重ね合わせを考える。ここでは正弦関数にかえて余弦関数を用いる。結果は同様である。
最終的な波動は同じ周波数の調和波となり(図2)、

Figure 7.5

図 2 三つの調和波の重ね合わせは同じ周波数の調和波を生成する

その振幅Eは、

Formula 計算式なし(5)

であり、

Formula 7.18

(式18)

とおいて、E0とαは

Formula 7.19

(式19)

Formula 7.20

(式20)

となる。

通常の(インコヒーレントな)光源(白色光源・ろうそく・等)を構成しているN 個の原子放射源を考える。波動的観点に立つと、持続時間の短い振動波動パルスを光子と関連付けることができる。個々の原子は、連波を生み出す独立な放出源とみなせる。これら連波の持続時間は1 nsec ~ 10 nsec である。続いて放出される連波の位相は全くランダムである。異なる原子から放出された波動間の位相差が一定である時間も長くて10-8sec である。式19の右辺第2 項の干渉を示す項は激しく変化し、時間平均するとゼロとなる。放射束密度は式19をある程度長い時間で平均したものであるから、(個々の振幅がE01として)

Formula 7.21

(式21)

となる。位相がランダムに激しく変化するN 個の光源からの光が重なったとき、放射束密度は個々の原子からの放射束密度の和となる。

反対の極端な場合を考える。光源がコヒーレントでかつ、観測点において同位相(αi= αj)とすると、式19から

Formula 7.22

(式22)

となる。個々の振幅が等しくE01であるとすると、

Formula 7.23

(式23)

である。コヒーレントな波動を重ね合わせるとエネルギーの空間分布は変化するが、全体量は不変である。個々の放射束密度の和よりも高い放射束密度の領域があれば、和よりも低い放射束密度の領域が必ずある。

参考文献

E. Hecht 著、尾崎義治・朝倉利光 訳「ヘクト 光学 I 」第9版 丸善(2013)