高密度媒質中では、相互に近接した膨大な数の原子・分子が散乱電磁波を生じ、それらが干渉し合う。一般に、媒質が高密度であるほど、横方向への散乱は少なくなる。それを理解するには、原子・分子による散乱波がどのように干渉するかを調べる必要がある。
干渉は二つ以上の波動の重ね合わせであり、最終的波動の振幅は各要素波振幅の代数和となる。要素波の位相が一致する場合は“強め合う干渉”となり、振幅は加算的に増大する。逆に、位相差が180°の場合は、要素波は打ち消し合い“弱め合う干渉”となる。
レーリー散乱理論は、空間中に1波長以上の間隔でランダムに分布する分子による散乱を扱う。この場合、各分子による横方向散乱波は相互に特定の位相関係がなく安定した干渉パターンは生じない。

図1(a) 広い間隔で分布した分子からの横方向散乱

図1(a)で、平行光が左から入射している。各分子は全方位に散乱波を放射する。横方向に位置する任意点Pには各分子からの散乱波が到達する。分子が広間隔でランダムに分布しているために、P点に達する各散乱波の位相は相互にランダムである。(分子の運動に伴う位相変化も生じる。)常に、強め合う干渉と弱め合う干渉がランダムに発生し、実効的に干渉効果は平均化される。広い間隔でランダムに分布した散乱体は、互いに独立な散乱波を放射することになる。横方向に散乱された光は、干渉に邪魔されることなく入射光ビームから離れていく。

散乱光の放射強度が1/λ4に比例することは、電気双極子放射から容易に理解できる。入射波を散乱する個々の分子は電気双極子と考えることができ、その放射強度はω4に比例する。

前方散乱

なぜ波動はどんな媒質中でも前進するのかを図2で示す。
Hecht Figure 4.4

図2前方方向散乱 散乱による光路差が大きくないために、各散乱波は大略同位相でP点に到達する

 

 

点Pに達する各散乱波は、散乱に伴う位相変化を含めて位相がほぼ等しい。従って、前方方向では、全ての散乱波は互いに強め合って足される。

参考文献

E. Hecht 著、尾崎義治・朝倉利光 訳「ヘクト 光学 I 」第9版 丸善(2013)