図1は、屈折率niの入射媒質から屈折率ntの透過媒質に光ビームが進行する様子を示す。

Hecht Figure 4.19図1 波動の屈折通過。媒質表面の原子が2次波を放射して、それらが強め合うように重なって屈折ビームを構成する。

ここでは、ni < nt とする。速度viで進む波面上にある点Bが、時間 Δt後に点Dに到達したとする。同じ波面上にある点Aは速度vtで、同じ時間で点Eに達する。vi > vtであるからAE (=vtΔt)< BD(=viΔt)となり、波面は折れ曲がる。入射波面・透過波面が境界面となす角度をθi・θtとする。直角三角形ABD・AEDは、斜辺ADを共有するから、

Hecht Formula 番号なし。4.4.1屈折の法則

BD = viΔt・AE = vtΔtであるから、

Hecht Formula 4.4.1屈折の法則(番号なし)

両辺に真空中の光速度cを掛けて、ni = c/vi・nt = c/vtを考慮すると、

 

Hecht  Formula 4.4

(式1)

 

 

を得る。屈折の法則の第1部分であり、スネルの法則として知られる。

式(1)は、nti ≡ nt/niとして、

Hecht Formula 4.5

 (式2)

と書き直すことができる。ここでnti: 相対屈折率。

反射の法則をベクトル表記すると

Hecht Formula 4.6

(式3)

 となる。あるいは書き換えて、

Hecht Formula 4.7

(式4)

ここで、kikt: 入射波・透過波の単位伝搬ベクトル、un: 境界面の(透過媒質に向かう)法線ベクトルである。
図1が示すように、境界面を通過する光ビームが3つの変化をする。

(1) 進行方向を変える、(2) ビームの断面積が増加する、(3) 波長が短くなる。媒質中の波長lは、

Hecht Formula 4.8

(式5)

ここで、λ0: 真空中の波長、n: 媒質の屈折率。媒質によって波長が変化することから、光の特徴指標は波長よりも周波数がすぐれている。波長を色と関連付けて議論するときは、真空中の波長λ0を使用すべきである。ここまでは、反射ビーム・屈折ビームの周波数は入射ビームに等しいと仮定してきた。入射ビームの界強度が小さいとき、電子振動子は単純調波振動を行い、媒質は線形応答を示す。明るい太陽光の電界強度1000 V/m程度であっても、原子の電子拘束電界1011 V/mと比較して十分に小さい。
線形応答を期待できる。しかし、高出力レーザーのように電界強度が極めて強いとき、媒質の応答は非線形となる。周波数νの入射光に対して、2ν・3νの高調波成分をもつ反射光・屈折光を発生する。例えば、リン酸二水素カリウム(KDP)やリン酸二水素アンモニウム(ADP)に、赤色光(694.3nm)を入射すると紫外光(347.15nm)が出てくる。

 

参考文献

E. Hecht 著、尾崎義治・朝倉利光 訳「ヘクト 光学 I 」第9版 丸善(2013)