光学的に高密度な媒質の平面へ、真空から平面波がある角度で入射する場合を考える(図1)。

Hecht Figure 4.15

図1 散乱の結果としての波動の反射。

 

入射波の波面が媒質に侵入するに従って、媒質分子のエネルギーを順次高めていく。各分子は、半球状の波とみなせる光子流を入射媒質側に放射する。波長は分子間距離と比較して十分大きいので、強め合う干渉をおこなう特定方向のみに散乱光は向かい、単一の反射ビームとなる。これと異なり、波長が短いX線の場合、あるいは、散乱体の間隔が波長より大きい回折格子の場合は複数本の反射ビームが生じる。反射方向は、反射散乱体間で与えられる位相差で決まる。この位相差は、(原子間隔と)入射角で決定される。図2で、線分AB・CDは入射波・反射波の波面を示す。

Hecht Figure 4.16

 

図2 散乱の結果としての波動の反射

平面波が左から入射して右に反射している。反射波面CDは、AからDにある表面原子よる散乱波で構成されている。
Aからの波がCに到達したとき、原子Dが放射して波面CDが完成する。

 

図2において線分ACとBDの長さが等しい場合、点Aから放出された波面が点Cに達した時に、点Bからの波が点Dに到達し散乱波を放射する。もともと同一波面(AB)上から出発して同一時点にCDに到達することから両波動は同位相であり、確かにCDは反射波の波面である。三角形ADBとADCは共通斜辺ADを持つことから、

 

 

となり、BD=ACから、

Hecht Formula 4.3

を得る。

 

光線
光線とは、放射エネルギーの伝搬方向に引かれた線である。均一媒質では、光線は直線となる。等方媒質中で、光線は波面に垂直となる。点光源から放射される球面波は、外向きの放射線群で表現される。平面波は平行線群で表されるが、省略して1本の光線を描けばよい。入射角と出射角が等しいことに加えて、反射の法則の第2の部分は、「反射面の法線と入射光線・反射光線は単一平面上にある」というもので、この面を入射面とよぶ。反射面の表面粗さが波長λと比較して十分小さければ、入射角に等しい反射角度で光ビームとして反射をする。しかし、表面粗さがλと比較して大きいときには、各々の光線は等角反射をするが、全体としてはいろんな方向に反射して、

拡散反射となる。

 

参考文献

E. Hecht 著、尾崎義治・朝倉利光 訳「ヘクト 光学 I 」第9版 丸善(2013)