下記に加え、フレネルの公式もご覧下さい。

振幅および放射束密度の反射率・透過率を考察する。また、反射・屈折に伴う位相変化を考える。

振幅係数

垂直入射に近い(θi≈0)ときtanθi≈ sin θiだから、振幅反射係数r//・rと振幅透過係数t//・tは、フレネルの公式の式21から、

Formula 番号なし(6)

正弦関数を展開しスネルの法則を用いると、

Formula 4.46

(式1)

となる。θi→ 0 の極限では、cos θi→ 1・cos θr→ 1 であり、

Formula 4.47

(式2)

となる。

nt> niの場合に対して、フレネルの公式の式20-23スネルの法則を使用してθi の全範囲の振幅係数を求めると図1のようになる。

Figure 4.41 図1 振幅反射係数・振幅透過係数 対 入射角

空気―ガラス境界面(nti = 1.5)における外部反射(nt > ni)

nt> niのときはスネルの法則からθi> θtであり、rは常に負である。他方 r//は、θi=0 の正の値から徐々に減少し、θi+ θt=90ºにおいて0 になる。このときの入射角をθpで表し、偏光角とよぶ。偏光角前後で反射光の位相は180°変化する。位相が逆転するとき反射光の振幅はゼロであるので、偏光角前後で電界が急変するようなことはない。θi > θpでr//は負であり、その絶対値は徐々に増加して、θi = 90ºでr//= -1.0 になる。
垂直入射では、フレネルの公式の式13・19から、

Formula 4.48

(式3)

フレネルの公式の式20・23から、すべてのqiに対して、

Formula 4.49

(式4)

となることがわかる。ただし、

Formula 4.50

(式5)

は垂直入射のときのみ成り立つ。

ここまでの議論は外部反射(nt> ni)に限定してきた。次に、内部反射(ni> nt)を取り上げる。このときθt> θiであり、rは常に正となる。ni> ntのとき、θiに対する振幅反射係数は図2で示される。rは、θi=0 の初期値から増加して、臨界角θcにおいて+1 に達する。θcは、θt=π/2 となる入射角である。r//は、θi=0 での負の値から増加して、θi=θ’pで0 となり、θicで+1 に達する。θpとθ’pは、互いに90ºに対する補数となる。

Figure 4.42

図2 振幅反射係数 対 入射角
空気―ガラス境界面(nti = 1/1.5)における内部反射(nt < ni)

 

位相変化

nt> niの場合はθi> θtとなり、式(t)からr< 0 が常に成立する。即ち、入射側媒質の屈折率が透過側より小さければ、入射面に垂直な電界成分の位相は反射によってπラジアン変化する。t⊥とt//は常に正であり、位相変化Δϕ = 0 である。ni> ntの場合、θicである限り、入射面に垂直な電界成分の反射による位相変化はなくΔϕ = 0 である。[Ei]//と[Er]//、[Et]//の位相関係については、y 成分が平行であれば同位相、反平行であればπラジアンの位相ずれとする。平行成分の振幅反射係数は、

Formula 番号なし(7)

で与えられる(フレネルの公式の式18)。上式からわかるように、条件

Formula 番号なし(8)

が成立するときに、r//は正である(従って、Δϕ //= 0)。スネルの法則を使って前記条件を書き換えると、

Formula 番号なし9

または、

Formula 番号なし (10)

となる。これは、

Formula 番号箸 (11)

の場合は ni< ntを意味し、逆に

Formula 番号なし (12)

の場合はni> ntを意味する。つまり、ni< ntならばθi= 0 ∼ θpで [E0r]//と[E0i]//は同位相であり(Δϕ//= 0)、θiがθpより大きくなるとπラジアンの位相差が生じる。
θi= θpのときは [E0r]//=0 であるから、遷移に際しても電界が不連続に変化することはない。逆に内部反射(ni> nt)の場合、θi= 0 ∼ θp‘ でr//< 0 であり、Δϕ//= π を
意味する。また θi= θp‘ ∼ θcではr//> 0 でΔϕ//= 0 である。θiが θcを越えるとr//は複素数となり、Δϕ//は漸増してθi= 90。 でπ となる。
以上の結果を図3にまとめる。

Figure 4.44

  図3 反射に伴う電界の位相変化

[E]//と[E]は、入射面に平行な成分と垂直な成分を示す。外部反射(nt > ni)と内部反射(ni > nt)を示す。

反射率と透過率

屈折率が異なる二つの媒質の境界平面に、円形断面の光ビームが入射している(図4)。

Figure 4.47

図4 入射ビームの反射と透過

ポインティングベクトル S は、

式(3.40)

であり、その大きさは、光ビームの垂直断面単位面積当たりの伝搬パワーである。

放射束密度 I (W/cm2)は、

式(3.44)

<S>tは、S = |S|の時間平均を示す(強度を参照)。入射・反射・透過、各々の放射束密度をIi・Ir・Itとする。また、入射・反射・透過ビームの断面積は各々、A cos θi・A cos θr・A cos θt・である。ここで、A は、境界面における入射ビームの照射面積である。入射・反射・透過ビームのパワーは各々、IiA cos θi・IrA cos θr・ItA cos θtとなる。反射率 R を入射パワーに対する反射パワーの比と定義すると

Formula 4.54

(式6)

同様に透過率 T を入射パワーに対する透過パワーの比と定義して、

Formula 4.55

(式7)

となる。Ir/Iiは (vrεrE0r2/2)/(viεiE0i2/2) に等しく、入射波と反射波は同一媒質中にあるため
vr= vi、εr= εiであるから、

Formula 4.56

(式8)

同様に μi= μt0と仮定すると、

Formula 4.57

(式9)

を得る。ここで、μ0εt= 1/vt2とμ0vtεt=nt/c の関係を用いた。一般には、T はt2に等しくならない。この理由の一つは、入射波と透過波の伝搬速度が異なるためである。I ∝ v であるので、屈折率の比が必然的に入ってくる。いま一つの理由は、入射ビームと透過ビームの断面積が異なるためである。単位面積当たりのエネルギー流い影響し、余弦項の比として現れる。入射面に垂直な電界成分と平行な電界成分に分けて、反射率・透過率を考えると、

Formula 4.61(式10)

4.62(式11)

4.63(式12)

4.64

(式13)

となり、

4.65

(式14)

4.66

(式15)

である。式10-14の数値例(nti = 1.5の場合)を図5に示す。

Figure 4.48

図5入射角に対する反射率・透過率

θi= 0 の場合は、

4.67(式16)

4.68(式17)

となる。

参考文献

E. Hecht 著、尾崎義治・朝倉利光 訳「ヘクト 光学 I 」第9版 丸善(2013)