内部全反射が生じているときの電界を考察する。振幅反射係数r・r//は、フレネルの公式を書き換えて、

Formula 4.70

(式1)

Formula 4.71

(式2)

となる。sin θc= ntiであるから、θi> θcではsin θi> ntiとなり、rもr//も複素数になる。
この場合も、rr* = r//r//*=1(*は複素共役を示す)つまりR = 1 であり、Ir= IiでIt= 0を意味する。
透過波は、平均すれば境界を越えてエネルギーを運ぶことはない。このときの電界の様子を考察する。透過波の電界は、

Formula 番号なし(1)

である。ここで、

Formula 番号なし(2)

であり、ktのz 成分はない(図)。

Figure 4.54

図 内部反射を表す各伝搬ベクトル

図から分かるように

Formula 番号なし(4)

である。ここで、スネルの法則を適用すると、

Formula 4.72

(式3)

である。sin θi> ntiの場合に注目しているから、

Formula 番号なし(4)

となる。また、

Formula 番号なし(5)

である。以上から、

Formula 4.73

(式4)

となる。物理的にあり得ない正の指数項を無視すると、式4はy 軸方向に振幅が指数関数的に減衰する波動を示す。この波は表面波あるいはエバネッセント波とよばれx 軸方向に伝搬する。波面はyz 面に平行である。波面内で振幅が不均一な波動となる。電界はy 方向に急減衰し、境界から2-3 波長分透過側に入ると振幅は無視できるほどである。

入射波と反射波は(θi= 90°のときを除いて))、位相がπもずれていないために、互いに打ち消すことはできない。
電界接線成分の連続性から透過側にも界が必要となる。これがエバネッセント波である。

ガラスブロック内を進む光ビームが、空気との境界層で内部全反射しているとする。極めて薄い空気層を介して、境界面にもうひとつのガラスブロックを対向させると、エネルギーの一部が対向ガラスブロックへと流れ出す。エバネッセント波によって、対向ガラスブロック中の電子が駆動され、散乱波が放射される結果である。この現象は、障壁侵入やトンネル効果とよばれる量子力学的現象と大変似ている

参考文献

E. Hecht 著、尾崎義治・朝倉利光 訳「ヘクト 光学 I 」第9版 丸善(2013)