電磁放射は広範な波長・周波数をもつが、真空中の伝搬速度はすべて同じである。スペクトルの各領域を無線波やマイクロ波・赤外光・等と名付けて区別するが、ただ一つの実体、即ち、電磁波が存在するだけである。マクスウェルの方程式は波長と独立であり、スペクトル領域間に本質的差がないことを示唆している。あらゆる電磁波に共通する発生機構を求めることは合理的である。発生源に共通するのは、”非一様に運動する電荷”である。

静止電荷は、定常電界を生じるが、磁界は発生しない。一様運動する電荷は、電界と磁界を生じる。しかし、放射はしない。電荷の非一様運動のみが電磁波を放射する。物質と放射エネルギーの相互作用は、光子描像では、光子と電荷の相互作用とみる。

線形加速器で加速されている電子やサイクロトロンで回転運動する電子、アンテナ中で往復振動する電子等、非一様運動する電荷は電磁波を放射する。自由荷電粒子は光子を吸収・放出する。この機構を応用した実用レベルデバイス―自由電子レーザーからシンクロトロン放射発生器にいたる―はますます増加している。

参考文献

E. Hecht 著、尾崎義治・朝倉利光 訳「ヘクト 光学 I 」第9版 丸善(2013)