導体を強制減衰振動子の集合とみなす。その一部は自由電子に対応し復元力を持 たない。他は原子に束縛されている(分散を参照)。
金属の光学的性質は主に、 伝導電子が決めている。振動している電子の変位 x(t) は、

Formula 351分散の式(3.66)

(式1)

 で与えられる。復元力がないときは ω0 = 0 であり、(誘電体のときとは異なり、) 変位は電界に対して180°位相ずれがある(図)。

Figure 4.57

 

図 束縛電子および自由電子の振動

この振動電子が入射波を打ち消す散乱波を放射し、急速に減衰する屈折波として現れる。

導体内を運動する電子に働く電界を印加電界そのもとであるとすると、希薄な媒質に対する分散方程式(分散の式11)を拡張できて、

Formula 4.79

(式2)

となる。N は単位体積中の原子数であり、右辺括弧内の最初の項は自由電子の寄与 を示す。各原子は、共鳴周波数のないfe 個の伝導電子をもっている。括弧内第2項 は束縛電子の寄与であり、分散の式11と同じである。ある周波数で強い 吸収を示す媒質は、入射エネルギーを吸収してしまうのではなく、再放射によって、むしろ選択的に強く反射する。金や銅は、波長とともに屈折率nI が大きくなり、長 波長域で強く反射するために赤味がかって黄色を呈する。金箔の厚さを10-6m 以下 にすると、白色光入射時の透過光は緑がかった青色になる。

金属が光に対してどのように応答するかについて、簡単な仮定を設けることで概要を知ることができる。束縛電子の寄与を無視し、さらにωが大きいとして、γi を 含む項も無視する。後者の仮定は、格子や欠陥との衝突間に電子は何回も振動するという事実に対応する。前記仮定の下で、式2は、

Figure 4.80

(式3)

 

となる。金属中の自由電子と正イオンはプラズマと見なすことができて、電子密度 はプラズマ周波数 ωp で振動している。ωp = (Nqeω/ε0me)1/2 であることから
式3は、

Formula 4.81

(式4)

となる。入射光の周波数がプラズマ周波数より小さい場合、屈折率は複素数となり 侵入波動は指数的に減衰する(金属中の波動参照)。
プラズマ周波数よりも大きい場合、n は実数となり導体は透明である。このため、X 線に対して金属は透明と考えることがで きる。

 

参考文献

E. Hecht 著、尾崎義治・朝倉利光 訳「ヘクト 光学 I 」第9版 丸善(2013)