電磁波を発生する最も簡単かつ重要な機構は振動双極子である。振動双極子は、正負の電荷対が直線上で振動するものである。

可視光や紫外光放射は最外殻電子の再配置に基づくものであり、量子力学的解析に従う。しかし、物質からの放射は、古典的な振動双極子モデルによっても考察は可能である。静止正電荷に対して、負電荷が直線上の調和振動する振動双極子を考える。振動角周波数をωとすると、双極子モーメントp(t)は、

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となる。
t=0では、p=p0=qd、ここで、d:電荷対間距離(初期最大値)、q:正電荷量。双極子モーメントはベクトル量であり、その向きは-qから+qに向かう。t=0から時間の経過に従って、負電荷は正電荷に近づき、オーバーラップしたのち反対側に離れていく。オーバーラップ時はp=0であり、電気力線は閉曲線になる。

原子極近傍の電界は、静止双極子の場合と同一形状である。少し離れた領域で、電界はかなり複雑な形態となり、詳細な検討で異なる五つの項からなることが分かる。より遠方の放射領域では、電磁界は簡単な構成となる(図)。電界・磁界とも横波となり、相互に直交する。電界の大きさ E は、

3.56

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