活躍の場を広げる次世代顕微鏡

ノロムソ大-ノルウェー北極大(UiT The Arctic University of Norway)と北ノルウェー大学病院(University Hospital of Northern Norway)は、蛍光顕微鏡に属する多焦点顕微鏡を開発している。この顕微鏡は、青い光を吸収して緑色の光を放出するマーカーでタグ付けされた細胞サンプルを、自然環境下において非常に鮮明な3D画像を作成し、あらゆる角度から研究できるように画像をレイヤーに分類する。
 研究者は、1回のカメラの露出で複数のZ面の画像を撮影できるようにして、1秒間に約100枚の細胞の完全な画像を取得できる(図1)。さらなる開発によって、この枚数が増やせると研究チームは期待している。
 多くのビームスプリッタを介して複数のZ面がカメラに入射し、サンプル平面からカメラ上の異なる領域に、それぞれ分割された経路が光を照射する。それぞれの経路はわずかに異なるが正確に計算された長さを持つため、異なるZ面を撮影する。
 画像取得時、バックグラウンドのブラーが除去される。この処理は、画像すべてへの照明を、レーザ光の薄いシートの超高速スキャンに変更することで実行される。いかなる場合もシートの位置は、カメラ上の特定の列と共役となる。
 UiT物理工学科の研究者で光シート顕微鏡のプロジェクトリーダーであるフロリアン・ストロール氏(Florian Ströhl)は、「これにより、カメラのロールシャッターを正しい時間で露出でき、サンプルボリュームの光シート照射部分のみを撮影できる。一方で、最終画像でブラーになり得る、他のピクセルにおける光を全く記録しない」と述べる。

図1

図1 新しい顕微鏡はボリュームからの光を再分布することで、多くの深さでお互いに隣り合った状態で同時に撮影でき、1回の撮影で全ボリュームを高速カメラで記録できる

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2023/05/006_wn_microscopy.pdf