太陽光励起により広帯域太陽光を効率的なレーザ光に変換

ポルトガルのNOVAリスボン大(NOVA University Lisbon)の准教授、ダウェイ・リアン氏(Dawei Liang)をリーダーとする研究チームは、半導体レーザアレイを避け、直接太陽励起固体レーザの将来性に着目している。目的は、現在の性能の制約を克服し、長期にわたる宇宙船搭載レーザの確実な動作を可能にすることである。
 広帯域の太陽光を太陽励起によりレーザ光へ変換できる。これは、狭帯域でコリメートされた、急速パルス放射の光源となり、非常に高輝度で強度が得られる可能性がある。
 「太陽エネルギーは、最も豊富に利用でき、信頼できるパワーソースである。宇宙では地球上の10倍以上であるので、宇宙ベースのレーザパワー生成は、エネルギーニーズを満たすことに関しては、大きな前進である」とリアン氏は話している。「宇宙の太陽光の強さは、地球上の約2倍であり、太陽光は4 ~ 5倍の長時間利用できる。これは、雲がないためであり、特に地球の夜間に利用できる」。
 半導体レーザアレイの2つの大きな短所であるがまず、時間の経過に伴い性能が大きく劣化することである。また、寿命が限られていることもあり、平均出力パワーのレベルにより比例するようである。
 半導体レーザアレイをダイレクトソーラポンプ(直接太陽光励起)固体レーザで置き換えることで、「これらの制約を克服できそうである」とリアン氏は話している。「効率的で、コスト効果の優れた再生可能なレーザがレーザ材料加工に使えるなら、地上のアプリケーションは、疑う余地がないかもしれない」。

3つのCe:Nd:YAGロッドソーラレーザシステムの設計

チームの太陽エルギー収集と集光アプローチは、NOVAヘリオスタット放物面鏡システムを利用する(図 1)。これは、大きな平面鏡と2軸ヘリオスタットに搭載された2つのフラットセグメントで構成されている。これは、ソーラレーザラボでインストールされた静止放物面鏡に太陽光を反射し続けるために回転するデバイスである。
  そのヘリオスタットミラーは、93.5%の反射率、入射太陽放射を静止放物面鏡へ向ける。静止放物面鏡は、径1.5m、リム角60°、焦点長660mmである。放物面鏡の裏面は、銀でコーティングされており、その反射率はこの主鏡では80%である。

図1

図1 Ce:Nd:YAG設計

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2023/03/004-005_wn_solar_pumping.pdf