複雑な部品のレーザ加工

ジョナサン・マギー

レーザ自動化の進歩により、レーザ材料加工の新しい道が開かれている。

レーザ加工は、レーザ光を集光して、金属からプラスチック、セラミックス、ガラス、有機物まで、さまざまな材料の切断、溶接、穴あけ、マーキング、彫刻、表面加工を行う技術である。レーザ光は、集光性が高く、加工対象の素材に適合する特殊な特性を持つため、精密な製造に適している。
 数年前まではレーザでは効率的に加工できないとされていた複雑な形状や素材の加工も、産業用レーザ加工の自動化で可能になった。最近の例では、自動車のダッシュボードや外装バンパーなど、自由曲面の3D可展面を持つポリマーや金属ベースの部品や、メートル以上のサイズ範囲の部品などの大規模なテクスチャリング加工がある(図 1)。
 他の例としては、脳卒中で動脈瘤ができた場合に脳の細い血管を塞ぐための医療機器に使われるマイクロワイヤーやコイルなどの、逆に機械的に繊細な部品である。これらの機器は、白金やニチノールなどの繊細な巻線材料で作られており、直径は数十ミクロンのサイズである。

図1

図1 複雑な表面に従来の小面積レーザ加工を行うと、完成品の表面に起伏ができる場合がある。(画像提供:アクシス・レーザーテクニ
ック社)

最初のステップ

レーザ光源は、このような複雑な製品を加工するためのソリューションの最初の構成要素にすぎない。レーザ光源は装置の心臓部であり、材料の光吸収特性や熱特性に合わせ、必要な品質とスループットで望ましい加工効果が得られるように選定される。
 レーザ光源は、半導体レーザからガスレーザ、ファイバレーザ、固体レーザまで、さまざまな技術に及んでいる。それぞれに特徴があり、加工する部品によって選定される。これらの部品に対する主な加工方法は、レーザマーキング、彫刻、構造化、切断、穴あけ、溶接、表面処理などである。性能、品質、スループット、コストの最適なバランスを持つレーザ光源を特定するためには、多くのアプリケーションの変化する要素を考慮する必要がある。これは、最終的に装置に組み込まれるレーザ光源と同じ構成を使用するアプリケーションラボでの作業である。機械製造工程の後半でコストと時間のかかる開発作業を繰り返さないように、早い段階で正確な構成を使用することが重要である。

統合ソリューション

レーザ材料加工のソリューションには、機械装置が必要である(図 2)。レーザを用いた製造の課題に対するソリューションは、自動化、ハードウエアコンポーネント、ビジョンシステム、光学系、レーザビーム伝送、ソフトウエア、データベース、レーザ光源を装置にうまく組み込めるかどうかにかかっている。レーザ光源を複雑な部品のレーザ装置ソリューションに統合することは、非常に専門的な作業であり、組織内の幅広い分野にわたる重要な技術的専門知識を必要とする。特に、自動車やヘルスケアなどの消費者向け製品がターゲット市場の場合は、その傾向が顕著である。関連する安全規格、機械・電気規格、規制への適合を遵守し、常に高品質を確保する必要がある。

図2

図2 光学式部品認識、自動搬送、レーザ加工、品質検査などの、自動車ホイール加工用統合レーザ装置。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2022/09/028-029_ft_laser_processing.pdf