すべての処理が統合された工場フロアの構築

フィリップ・コナー

完全な積層造形ソリューションを構成する4つの主要要素は、ハードウエア、材料、ソフトウエア、そして下流プロセスである。

3Dプリント技術は、プロトタイピングの範囲を超えて、真に生産グレードの積層造形(Additive Manufacturing:AM)への成熟を続ける中で、この技術の能力を活用したいと考えるメーカーに対して、疑問を投げかけている。AMは、複雑で機能重視の部品を、かつてないほど高い費用対効果で製造することを可能にして、軽量化によってシステム効率を高めたり、組み立て処理の軽減によって品質と信頼性を高めたり、少量生産やオンデマンドでの部品製造を可能にすることによってサプライチェーン管理と在庫管理を改善したりといった、劇的な影響をもたらす。AMの最も効果的な使用事例を定義するためのリソースは多く存在する一方で、それを既存のワークフローに適切に統合する方法に関する情報はあまり提供されていない。
 AMの導入は、完全な移行を意味するわけではないことを、はっきりさせておくことが重要である。ほとんどのケースにおいて、AMの最も適切な実装は、より広範なツールボックスの中の1つの特殊ツールとして、積層造形を既存のワークフローに組み込むことである。AMは、製造手段としては比較的新しいが、完全なAMソリューションを構成する要素や、それを生産環境に組み込む方法は、十分に直感的である。その4つの主要構成要素は、ハードウエア、材料、ソフトウエア、そして下流プロセスである。

産業スケールの3Dプリントハードウエア

AMを生産に活用するには、生産を念頭に3Dプリントハードウエアと材料を設計する必要がある。これは、スループットと再現性の高いシステムを構築し、費用対効果が最大限になるように、運用効率をできるだけ高くすることを意味する。また、生産グレードの材料と生産志向の材料供給機構がなければ、生産グレードの装置を語るのは難しい。3Dプリント技術は、種類によって仕組みが異なるが、いずれも、生産仕様を満たす材料と整合して高速に動作するように、最適化することができる。
 実際の仕組みが概念的に理解できるように、3Dプリンター「SLS 380」のアーキテクチュアとワークフローについて説明しよう。選択的レーザ焼結方式(SLS方式)のプリンターであるSLS380は、高出力レーザを使って材料層を最終部品に溶融結合する、粉末ベースのシステムである。1つの層をスキャンするとプリントプラットフォームが引き下げられて、次の層の前準備として粉末が再度塗布される。これは、すべてのSLS装置に共通する動作だが、SLS 380には、高い部品品質と一貫性を達成して、生産レベルの再現性を実現するための追加機能が搭載されている。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2022/07/032-033_ilsft_AM.pdf