ブルーレーザとIRレーザ、ハイブリッドコンセプト
ブルー半導体レーザを製品化しているメーカーは国内外に数社あるが、ここでは主に展示会Photonixのブースにおいて取材をした、レーザーライン社の
製品について紹介をする。
ブルーレーザの高出力化方式
レーザーライン社では、高出力レーザ素子技術が確立されており、このレーザバーをスタックすることで1kW、2kW、 3kW、4kWを出力する積層レーザスタックモジュールとしている。
現在、IR波長で1スタックあたり最大4 ~ 5kWが実現している。ブルーレーザについて同社の説明は、以下の通りである。
「スタック1kW+1kWを合 わせて2kWのモデルで、これは偏光カプリング方式である。さらなる高出力化は波長カプリング技術を利用する。現在のブルーの波長450nmと他波長を利用、これにより理 論 上、2kWモデルは4kWになる。ブルーの波長域であれば、波長カプリングでも、熱加工なので、加工結果は基本的に変わらない。
高出力化は、現在のチップ単体の出力が5W程度だが、それが今後高出力化していく。チップ自体の出力が上がれば、一段と高出力になる」。
高出力化の技術は、単にバーの積層を増やすだけではない。冷却技術も重要である。
「バーの積層数が多くなると、放熱が必要なのでビーム品質にも関係するが、積層数は無限に増やせるわけではない。当社には、マイクロチャネルクーリングという冷却技術があるので、放熱特性のマネージメントが可能である。また、出力光の先端にマイクロレンズをつけ、広がり角を抑え、ビームを分割し、光を合成する。そういう高等技術があるので、バーからの光出力を1本のラインビームに重ね、ファイバに導入する。この光学系のノウハウにより、バーで高出力化しても小さなファイバに入れることができる」。
国内のメーカーでは、島津製作所が高主力ブルーレーザを発表している。同社の説明では、「空間多重、波長多重、偏波多重を組み合わせて高出力化、高輝度化を実現した」としている。また、大阪大、島津製作所、日亜化学工業、古河電気工業は「青色半導体レーザ接合加工研究会」の設立(2020/12)を発表している。同研究会のターゲットアプリケーションとして挙げているのは、リチウムイオンバッテリー、EVモーター、EVモーター用バスバー溶接、リチウムイオンバッテリー電極溶接、EVモーターコイル巻線溶接、異種材料の接合などである。
以上の現状を見ていくと、レーザーライン社の2kWブルーレーザは、世界最高クラスの出力である。
半導体レーザ、グリーンとブルー
Industrial Laser Solutions Online、2021年6月の記事「グリーンとブルーレーザによる高品質溶接」が紹介されている。
従来技術について、レーザーライン社の認識では、「これまでは市場にIRレーザしかなかったので銅の加工が困難であり、溶接が不安定で、抵抗溶接で処理していたがスピードが遅い」。
この記事では、「銅では、IR放射の5%程度の吸収率」「グリーンとブルー領域の光は、IRと比べて非鉄金属では最大20倍の効率。従って、溶融に必要なエネルギーは、大幅に低い」(1)と紹介している。
では、グリーンレーザとブルーレーザとでは何が違うのだろうか。
グリーンレーザ
産業アプリケーションに必要とされる適切なパワーは通常、515nmと532nm領域でこの波長を得るためには周波数2倍のIRレーザの第2高周波を利用する。従って、効率が低く、製造工程ではパワー減となり、高価な冷却と複雑な光学的設定が必要になる。
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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2022/03/020-021_ils_Laserline.pdf