精密フリーフォーム光学部品をはじめから終わりまで効率的に製造

パット・ベヒトールト、ジョシュ・ハメル、フランク・ヴォルフス

フリーフォーム光学部品を製造するプロセスは、ハードウエアとソフトウエア両方における高度な製造及び計測ツールの相互連携に依存している。

フリーフォーム光学部品は、回転対称光学部品における制限を取り払い、従来の球面または非球面レンズよりも優れた性能を提供する、複雑なコンポーネントである。光学システムにおいては、いくつかのレンズを1つのフリーフォーム光学部品で置き換えることもできる。
 フリーフォームは回転対称ではないため、製造中にレンズを回転するための回転軸を持たない。これらの形状は回転対称光学部品で使用される一般的な方法では製造できないということが、コンポーネントを製造する際の課題となる。フリーフォーム光学部品を低コストで製造するために、米オプティプロ・システ ムズ社(OptiProSystems)は、CNC光学研削技術と「UltraForm Finishing(UFF)」サブアパーチャ研磨システムを絶えず強化してきた。加えて、オプティプロ社は2015年に「PROSurf」を導入した。PROSurfはフリーフォームCAMソフトウエアで、従来のCAMソフトウエアパッケージよりも精密にフリーフォーム光学部品のツールパスを生成する。PROSurfはまた、フリーフォーム光学を研削及び研磨する際の、計測ドリブンの修正もサポートする。
 PROSurfの初のリリース以来、フリーフォーム光学部品の製造工程を最適化するために、カスタマーのフィードバックに基づくアップデートが行われてきた。このプロセスは4つのステップから成り立ち、3つのオプティプロ社のシステム、すなわちフリーフォームサーフェスを生成するための5軸CNC光学研削機、希望する品質に応じて表面を研磨する5軸UFFマシン、製造中及び最終計測を行う「UltraSurf5X 400」非接触計測システムを必要とする。以下に光学ガラスを材料とする楕円面のフリーフォームを、「eSX150」CNC光学研削機と「UFF 300」フリーフォーム研磨機によって製造する工程の、全4段階を詳細に説明する。

ステップ1:フリーフォームサーフェスの生成

フリーフォーム光学部品を製造するため、はじめに光学ブランクから表面を「粗削り」する必要がある。このため、オペレータははじめに表面のCADモデル、方程式、または点群をインポートし、PROSurfのようなCAMソフトウエアで表面を定義しなければならない(図 1)。
 表面を定義した後、PROSurf中に工具及びプロセスのパラメータを入力することによって、高速材料除去ツールパスが生成される。高速な材料除去が可能になることで、PROSurfは、工具をブランクのフラットトップから開始して表面全体を粗削りすることにより、特定のストック量のバルク材料の除去をプログラムできる。この方法は、工具が空を切るようなどんなモーションも飛ばすことによりカット効率を最大化し、効果的にサイクルタイムを減らして効率を高める。PROSurfはオフラインプログラムのため、いったん高速材料除去ツールパスが生成されると、マシンとは別のコンピュータに保存される。続いてツールパスはeSX150のようなCNC光学研削機で実行するために移され、粗研削に適したフリーフォームサーフェスのニアネットシェイプを生成する。
 図1に示す楕円面は、eSX 150でグリットサイズ180の12.7mm径のリング工具を使って生成された。

図1

図1 CADモデルをインポートしてPROSurfにおいて定義されたフリーフォームサーフェス。

ステップ2:フリーフォームサーフェスの粗/微細研削

2番目のステップでは、ボール工具を使用してフリーフォームサーフェスを粗研削する(図 2)。フリーフォームサーフェスのCADモデルをインポートした後、工具及びプロセスのパラメータを入力し、初期の粗研削のツールパスを生成する。粗ボール工具は、サーフェスの下部から等高線を描き、上部に向かって進む。サイクルは、工具がサーフェスの上部で最後の粗削りパスを作成した時に完了する。表面の粗削りが完了した後、パーツはマシンから取り外され、UltraSurf 5X 400のようなフリーフォームサーフェスを測定できる計測システムで測定される。この測定のエラーマップを使用して、別の粗面研削ツールパスがPROSurfで作成され、光学研削機で実行される。
 微細研削プロセスでは、グリットをより細かくした同じサイズのボール工具を使用し、粗研削と同じワークフローを必要とする。

図2

図2 ボール工具を使用して、楕円体の表面を粗/微細研削した。処理の前に表面は黒いマーカーで覆われていた。これは、光学部品の研削及び研磨時において、表面全体にわたって確実な材料除去を確保するために一般的に行われる。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2022/01/018-020_ft_optical_manufacturing.pdf