レーザビームシェイピングとレーザビーム評価

井上憲人

2021年2月24日、レーザ協会第189回研究会「レーザビームシェイピングとレーザビーム評価」がオンライン開催で行われた。内容は、4セッションで構成されている。3番目のセッションを除いては、各社の扱う製品とアプリケーション及び最近のトレンドとなっている。細部は各社が紹介するメーカーのWebサイトが参考になる。
1.「世界初の透過型アダプティブオプティクスと最新のビームシェイピング事情」オーテックス(株) 渡邉篤氏
2.「独自開発した回折光学素子(DOE)を用いたビームシェイピングのご紹介」(株)スペースフォトン 川島勇人氏
3.「屈折型ビームシェイパ」千葉工業大 徳永剛氏
4.「非接触ビームプロファイラによる高出力レーザのフォーカススポットおよびフォーカスシフト測定」Ophir Optronics Solutions Ltd.MKS Instruments,Inc. マイケルモズジェチコフ氏
以下では、3を除く各セッションの概要を簡単に紹介する。

1.「世界初の透過型アダプティブオプティクスと最新のビームシェイピング事情」

オーテックスの渡邉氏は、最初に「ビームシェイパーが求められる背景」を説明した。続いて、同社が扱う米ダイナミックオプティクス社(Dyna­mic­Optics)、仏Cailabs社、英グーチ・アンド・ハウスゴー社(Gooch&Housego)、その他の関連製品を紹介した。
同氏は、「ビームシェイパーが求められる背景」については、プロフィテット社から援用して説明している。
ビームシェイパーとは何か。同社は、­「ビームシェイパーはガウシアンビームをトップハットビームやドーナッツビーム、リングビームなど、切断、溶接、AM(Additive­Manu­fa­c­tur­ing)、 ブレージング、穴あけ、スクライビングなどさまざまなレーザ加工に有効なビームプロファイルに成形するための光学部品」と解説している。つまり、最近の精密加工状況が「ビームシェイパー」を必要としているという見方である。
オーテックスが最初に紹介したのは、ダイナミックオプティクス社の製品デフォーマブルミラー 、アダプティブレンズ、波面センサ。「マルチアクチュエータアダプティブレンズ」(MAAL)は世界的に初めてのものである。アプリケーションは、顕微鏡、レーザシェーピング、望遠鏡など。ダイナミックオプティクス社の説明によると、MAALは、多くのアプリケーションでデフォーマブルミラーを置き換えるアダプティブレンズであり、これによりコンパクトなアダプティブ光学系の設計が可能になる。
アクチュエータはリング形状、境界が異なる2つの同心リングに設置されており、チャンバーは液体で満たされている。
これらの製品に関連したアプリケーションと実績が多数紹介された。
次に、Cailabs社製品(図 1)、ビームシェイパー 、アキシコンミラー 、CWハイパワーレーザ用ビームシェイパーが紹介された。同社が対象とするアプリケーションは、テレコム、LAN、防衛、宇宙、レーザ加工、航空宇宙と多岐にわたるが、セッションではレーザ加工にフォーカスしている。
グーチ・アンド・ハウスゴー社関連では、超音波光変調器の原理を紹介した後、CO2レーザ用AOM利用の加工
例を説明。
AOMは、同社の説明によると、光強度を制御し70MHzまでのスピードで変調するデバイス。音響波を利用して結晶内に回折格子を形成する。加えるRF信号を変えることで、信号に比例して回折光の量を変える。
アプリケーションは、マーキング、材料加工、マイクロマシニング、ライダ、レーザ線幅計測など多様である。
CO2レーザ用AOMを用いることで、熱影響の少ないCO2レーザ加工が可能になる、と紹介された。

図1

図1 CANUNDA製品ラインによるレーザ溶接。CANUNDA-HPビーム成形モジュールを使ってハイパワー連続波レーザを成形。
対称(リング、中心スポットリング)、非対称成形などが可能。高い平均パワー(16kW実証)。CANUNDA-HPは、ロボットアームのファイバレーザに組込可能。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2021/06/042-043_event_focus.pdf

ご参考:
(株)光響が提供する製品情報:
ビームプロファイラ(日本語Webサイト)
Beam profiler(English Web site)