カテーテルを用いる心臓手術の安全性をさらに向上させ得る光音響イメージング

この種の研究では初めて、米ジョンズ・ホプキンス大(Johns Hopkins University)の研究者が、有害な放射線をどうしても必要とする現在の手法に光音響イメージングがやがて置き換わる可能性を証明した(1)。
 この発見は、心臓手術における成功について詳しく述べている。しかし、体外受精や、米インテュイティブ・サージカル社(Intuitive Surgical)製のダヴィンチロボットを使用して太い血管の鮮明な画像を必要とする手術など、カテーテルを用いるあらゆる処置に応用できる可能性を秘めている。チームを率いたのは、ジョンズ・ホプキンス大、電気・コンピュータ工学准教授のムイナトゥ・ベル氏(Muyinatu Bell)だった。ベル教授は、光音響・超音波システム工学(PULSE)研究所のディレクターであり、論文のシニアオーサーでもある。
 チームは、心臓インターベンション中に技術の試験を行なった。この手術では、カテーテルを静脈または動脈に挿入し、心臓に通すことで、心拍異常などのさまざまな心疾患の診断や治療を行う。現在、最も一般的にはX線透視法を使うが、カテーテル先端の影を表示するだけであり、深さなど詳細な情報を得ることはできない。さらにベル教授は、現在のこの可視化技術は電離放射線を必要とするため、患者と医師の両方に害をもたらす可能性があると付け加える。
 光音響イメージングでは、体内のある部位に配置されたパルスレーザからのエネルギーを、例えば血液中で酸素を運搬するヘモグロビンというタンパク質などの光吸光体が吸収することで、わずかな温度上昇が生じる。この温度上昇は急速な熱膨張をもたらし、音波が発生する。この音波を超音波プローブで受信し、画像に再構築させる。
 過去の光音響イメージングの研究の多くは、皮膚科の処置など、体外での使用を対象としており、レーザ光を体内に配置してイメージングを試みた例はほとんどなかった。ベル教授のチームは、光音響シグナルを自動的に追跡するロボットシステムをテストすることで、光音響イメージングが放射線被曝を減らすための方法について探りたいと考えてきた。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2021/01/10_winbio_medical_imaging.pdf