議会がICF予算を引き上げ:20年度末までに期待されるレビュー結果

ジェフ・ヘクト

年末までに、国立点火施設(NIF)のパルスエネルギーを増加し、新しい実験を行うための5年プログラムの計画が示される予定だ。

2020年度予算をめぐる争いが落ち着いたとき、米国の慣性閉じ込め核融合(Inertial Confinement Fusion:ICF)プログラムは、2019年度予算の5億4500万ドルから5%の増加である、5億6500万ドルという総予算の増加が明らかになった。トランプ政権は4億8100万ドルと12%の削減を提案していた(表 1)が、議会は土壇場でくつがえし、12月に署名された最終予算で8400万ドルの支出を追加した。2021年度予算の最初の草案が2月10日に発表されたが、今後数か月の最も重要なニュースは、国家核安全保障 局(Natio nal Nuclear Security Admini stra tion:NNSA)のために進行中の米国における慣性閉じ込め核融合研究の新たな調査だろう。
 調査報告は、年末までに提出される予定で、国立点火施設(National Ignition Facility:NIF)が米ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Labo ratory)で運用を開始してから10年以上が経過している。核融合ターゲットに点火するには理論上、十分だと予測されていた1.8MJパルス出力という設計目標を達成するためには、何年にも及ぶテストと改良が必要だった。結局、問題はレーザではなく、点火を予測する理論だった。最近の実験結果は、調査委員会が慣性閉じ込め核融合の将来の計画を立てるのに役立つ。
 年末までに委員会は、NIFのパルスエネルギーを増加させ、核融合プラズマに点火する、もしくは点火に必要な条件を突き止めるための新しい実験を行う5か年プログラムのための計画を立てる。備蓄弾頭維持計画(Stockpile Stewardship Program)の一環として慣性核融合を監督するNNSAによると、委員会は実験、計算、及び理論的根拠を分析し、核融合の出力を実験室で数MJのエネルギーに拡大する方法を学ぶということだ。これには研究中の3つの主要なアプローチでNIFのレーザ間接駆動核融合、米ロチェスター大(Univer sity of Rochester)のOMEGAレーザでのレーザ直接駆動、及び米サンディア国立研究所のZマシンによる磁気直接駆動といった、カギとなる物理的不確実性を突き止め、点火に到達する必要条件を予測することが含まれる。その成果は、「物理学、不確実性、及びパフォーマンスの調査結果に対処するための特定のマイルストーンを持つ5年間のロードマップ」になるだろう。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2020/11/020-021_ft_pulsed_lasers.pdf