生体医学の発展を促進するイメージングの進歩
商業用顕微鏡の開発により、研究・手術応用の両方でよい成果が出ると期待されている。
光学顕微鏡の進歩により、研究室から手術室まで、重要な手段において、生物学的イメージングが可能になっている。
よりよい脳外科手術
倍率、解像度、照明による視野の向上に加えて、神経外科など重要な手術における成功の可能性を最適化できる、術中ライブイメージングを可能にする顕微鏡がある。
血管や血流を可視化する技術は、外科医にとって重要だ。外科用イメージングの最新のイノベーションの1つは、解剖学的顕微鏡が励起光を生成し、近赤外(near-IR)光下で蛍光を発する薬剤であるインドシアニングリーン(ICG)からの蛍光を解像できるデバイスである。このデバイスは非接触で非侵襲的な拡張現実(AR)顕微鏡アクセサリで、可視光画像をキャプチャするカメラと、近赤外蛍光の血管造影情報をキャプチャするカメラからの2つのビデオストリームをデジタルに結合する。その結果、自然な発色で大脳構造の高精細画像が得られ、さらにリアルタイムな血管内血流を疑似色で重ねるという拡張がなされる。
血管や血流の可視化のための従来のICGアプリケーションでは、外科医は手術を止め、別の白黒の映像を見て、この情報を解剖学的な顕微鏡の視野の中で思い出して一致させる必要がある。独ライカ社(Leica)の外科用顕微鏡アクセサリGLOW800による新たなイノベーションは、血管造影と解剖学的情報の両方を同じ視野で、完全な奥行き知覚を提供する(図)。
外科的介入を対象としたもう1つのイノベーションは顕微鏡フィルタだ。これは、強力で均質な励起光と、適切に調節された観察スペクトルを生成するよう設計されたものである。活性物質である5アミノレブリン酸(ALA)に作用して、悪性神経膠腫組織と健常な脳組織をリアルタイムで視覚的に区別できる。そのため、最も複雑で危険を伴う高度な脳神経外科手術の一部における意思決定をサポートし、脳機能の維持と寿命延長に必須である、正確な腫瘍切除を支援する。単一のプラットフォームで手術視野を正確かつ統合的に提供するライカ社のARveoなどのデジタルAR顕微鏡と組み合わせると、フィルタ(ライカ社FL400)によりリアルタイムで明るく、高コントラストな腫瘍境界を外科医は得ることができる。ボタンを押すと蛍光組織が表示されるため、術中のワークフローのスムーズな進行が可能になり、外科医は「ヘッドアップ」で手術を行うことができる。
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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2020/07/042-043_bioft_optical_microscopy.pdf