ディープニューラルネットワークは、3Dポイントスプレッド関数から正確に位相情報を読み出す

ほとんどの光学イメージング技術は、強度情報のみをとらえる、つまりセンサに入ってくる位相情報は失われる。ある種のイメージングシステム、例えば顕微鏡では、対象が透明だとしても位相に影響を与えるかもしれないので、位相情報の検出つまり読出しがイメージングプロセスの改善に役立つ。位相読出しは、強度情報から隠れた位相情報を計算的に回復することであり、これは存在するが従来の形式では遅い。役に立つ量の位相情報を読み出すには集中的な計算が必要である。
 この問題に対処して、米スタンフォード大 のレオンハート・ メクル氏(Leonhard Möckl)、ペーター・ペトロフ氏(Petar Petrov)とW. E.モーナー氏(Moerner)は、深層残差ニューラルネットワーク(NN)に基づいて位相読出し技術を開発した。これは、一般的なポイントスプレッド関数(PSF)の隠れた位相を迅速かつ正確に抽出し、その情報をゼルニケ係数として返す。ディープNNは、入力と出力の間にマルチネットワーク層を持つ。このタイプのNNでは、データは入力から出力へ、フィードバック(データの後方ループ)なしで層を通して進む。
 スタンフォード大の位相読出しアプローチは、いわゆる残差NNに基づいている。ここでは、NNを介して浸透する情報が層をスキップすることがあり、これがNNのトレーニングに役立つ。NNをトレーニングした後、それは入力として、焦点位置の範囲でとられたPSFの一連の2D強度計測を利用する。NNは、その情報を処理し、1 ~ 6次(いわゆる2 ~ 28のノルインデクスに対応する。ノルインデクスは、一次元数であり、特殊ゼルニケ次数がシングルナンバーで表される)のゼルニケ係数を出力する。
 そのNNの効果をテストするためにスタンフォード大の研究者は、多数のPSFをシミュレートした。それぞれがランダムに選ばれた一連の異なる1 ~ 6次のゼルニケの結果となる。 PSFシミュレーションは、焦点位置-1、-0.5、0、0.5及び1μmで計算され、ゼルニケ係数における変動は、2λ。結果としてのPSFは、NNの入力として使用された。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2020/07/10_wn_neural_networks.pdf