議論される国際的な輸出管理指針―レーザ産業に意味すること

ジェニファー・ドリス・オブライエン

国際的にビジネスを展開するすべてのレーザ製造企業は、ワッセナー・アレンジメント(Wassenaar Arrangement:WA、事務局はウィーン)で設定される輸出管理指針の影響を受ける可能性がある。WAは国際的な輸出管理規制に関する申し合わせであり、42か国がそれぞれの国内法令に基づいて実施している(図参照)。毎年、参加国の代表はウィーンに集まり、各国の提出案について話し合い、合意に基づいて輸出規制のレベルを引き上げたり引き下げたりする。
 このような提案は、国内の業界が作成し、政府関係者に提出されて、政府支援の提案としてWAに持ち込んで検討できるものかどうか審議されることが多い。SPIEは、提案が世界のレーザコミュニティに支持されるように調整するとともに、レーザテクノロジーを規制内で定義する際の問題に関して合意に達するためのフォーラムを実施している。
 多くの場合、規制解除が求められるのは、WAを遵守していない国で管理品目の製造が成長しているからである。WAの非遵守国から管理品目を入手できるため、拡散を防ぐための管理が無効になるだけでなく、その品目の輸出管理を実施している国々に拠点を置く企業は競争において不利益を被る。規制解除が求められる可能性があるもう1つの理由は、管理対象となる技術分野の管理品目がもはや軍事的に重要ではないとみなされるかどうかということである。いずれにしても、こういった理由はさほど考えられないか、または一国に拠点を置く産業に限定される。しかし、それよりも、規制解除が求められているということに管理品目を生産するあらゆる企業は衝撃を受けている。
 今年のWA総会では規制内でどのように疑似連続波(QCW)レーザを定義するかということが最近の課題として議論される。現在の規制は、パルスレーザと連続波(CW)レーザの両方に適用されている。QCWレーザを管理文面内のどこに入れるかを決めることが現在の議論の的であり、その解決には一般的なレーザの管理に適用されている定義を明確に変更する必要がある。

ジェニファー・ドリス・オブライエン

ジェニファー・ドリス・オブライエンはSPIEの政策担当ディレクター。e-mail:jennifero@spie.org

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2020/04/042-043_business_forum.pdf