大面積基板対応高速レーザ微細加工

アンドレ・ストリーク、ウド・ロシュナー、ルネ・リーバース

ハイパワー(高平均パワー)レーザと高速スキャニングシステムの組合せは、大型基板を迅速かつ正確に処理する。

高速レーザ微細加工は、現在の微細加工および製造で重要な実現技術になりつつある。最近の高速加工技術は、ハイパワーレーザと高速加工の利点を統合している。主目的は、革新的で、十分に確立されたレーザ微細加工プロセスを実験室から産業へもたらし、生産性、加工速度およびスループットの強化である。他方で、これは可能になっている。すなわち、優れたビーム品質で数百Wから数千Wを出力するレーザ光源の開発、また高い平均パワーの超高速レーザ開発における最近の進歩によるものである。もう1つの中核的機能である超高速スキャンシステムは、たとえ高出力レーザでも、高速加工の前例のないスピードでレーザビー
ムを偏向させることで基板への熱損傷を回避できる。
 1つの有望なアプローチでは、大開口ポリゴンミラーベースのスキャンシステムと長い焦点長の対物レンズと組み合わせることで、数十メートルから数km/秒の範囲で素早いビームスポットの動きを可能にする。優れたビーム品質により、数十μmの小スポットサイズが、最大700×700mm2の大きなスキャン領域をカバーすることができる。精密微細加工には、レーザの動作を高速レーザビームスイッチングによる制御で、レーザビームと超高速ポリゴンスキャンシステムとを正確に同期させる。大面積マイクロスケールの特徴
 高速微細加工は、数百ナノメートルから数十マイクロメートルの範囲の構造寸法でマイクロスケール表面特性作製に最適である。自然からヒントを得て、この(サブ)マイクロスケール特性を使って、機械的、化学的、物理的表面機能制御ができる。例えば、自己洗浄、湿潤性、静摩擦や接着、光学特性や微小流体特性などである。
 一例を示すと、大面積リップルテクスチャ AISI 304表面がある。これは、ポリゴンスキャンシステム(図 1a)を使い高い平均パワーフェムト秒レーザ(1030nm、400fs、450W)で加 工 したものである。500m/sスピードでは、この280×190mm2回折格子の加工速度は、2000cm2/分だった。サメの皮
知られているリブレット効果からヒントを得て、図1bは、アルミニウム翼へのレーザ加工抵抗低減表面トポロジーを示している。これは、2.7kW連続波(CW)シングルモードファイバレーザとスキャン速度150m/sで加工した。加工速度は、0.82m2/hだった。
 加工ピース例は、ポリゴンミラースキャナで生成された。これは、独MOEWEオプティカルソリューションズ社(MOEWE Optical Solutions)から購入できる。このスキャナは、31mmの大きな自由開口部を持ち、斬新な歪フリーのダブルポリゴンミラーの利用で達成される。この設計により、大開口にもかかわらず、2Dスキャナ用のコンパクト設計ができる。ポリゴンスキャナは、完全デジタル化されている。周波数200MHz組込FPGAを利用しており、スキャナは幾何学的最適補正され、軸の動きなど外部の影響にリアルタイムで反応することが可能である。

図1

図1 加工例は、高速レーザ微細加工技術の可能性を実証している。生物からヒントを得た表面機能性向け大面積リップルテクスチャAISI 304ステンレス鋼表面(a);抵抗低減のための微細リブレット形成で覆われたアルミニウム翼断面形状(b)。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2020/01/p38_ultrafast_laser_machining.pdf