レーザリソグラフィでスマート衣服用防水エネルギー保存布を作製

二酸化炭素(CO2)レーザと超高速レーザの組み合わせを利用して伝導性グラフェン素子パターン化スーパーキャパシタをナイロン布に作製した。
 豪RMIT大の研究者は、エネルギー蓄積デバイスを埋め込んだ布地を素早く作るコスト効率がよく、拡張性のあるレーザプリンティング法を開発した。その方法は、3分で10×10cmスマート布地パッチを作ることができる。パッチは、防水で、伸縮性があり、エネルギーハーベスティング(環境発電)技術への組込みが容易である。
 その技術は、グラフェンスーパーキャパシタ(エネルギー蓄積デバイス)をナイロンなどの布地上への直接レーザプリントを容易にする。概念実証で、研究チームはレーザプリントされたスーパーキャパシタと太陽電池を接続し、効率的で洗濯の利く、自己発電スマートファブリックを作製した。これは、既存のイーテキスタイル(e-textile)エネルギー蓄積技術の主要欠陥を克服している。
 成長が続くスマートファブリック産業には、コンシューマー、ヘルスケア及び防衛分野向けウェアラブルデバイスにアプリケーションがある。患者のバイタルサインのモニタリング、戦場で兵士の位置と健康状態のトラッキング、パイロットやドライバーの疲労モニタリングなどが含まれる。そのような布地は、自己発電に最適であり、太陽電池、圧電発電機などエネルギーハーベスタの内蔵につながる、またエネルギー保存は言うまでもない。あるアプローチでは、リチウムバッテリーをスマートファブリックに接着、あるいは縫い込む。他には、バッテリーを形成する電解液と電極を組み合わせは、低いエネルギー保存機能をもつ。
 「スマートテキスタイルエネルギー保存への現在のアプローチ、バッテリーを衣服に縫い込む、あるいはイーファイバを使うなどは、面倒で重い。また容量問題も起こり得る」とRMIT大科学学部研究者、リティ ・テッケカラ氏(Litty Thekkekara)は話している。「このような電子コンポーネントは、汗あるいは環境からの湿気に触れると、短絡や機械的故障に悩まされる。われわれのグラフェンベーススーパーキャパシタは、完全に洗濯が利くだけでなく、インテリジェント衣服に必要なエネルギーを蓄積できる。また数分で大規模生産できる」。
 研究では、幅広い機械的、温度、洗濯試験でスマートテキスタイルの実証実験のパフォーマンスを分析し、それが安定的で効率的であることを確認した。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2020/01/p14_wn_photonic_textiles.pdf