Laser Focus World誌、2019イノベーターズ・アワードを発表

ジョン・ルイス

Laser Focus World誌は、昨年に引き続き二度目のイノベーターズ・アワード(Innovators Awards)プログラムを開催した。ここでは、フォトニクス市場の斬新で革新的な技術、製品、システムを取り上げる。

審査員による厳正な評価に基づいて、アワードは4つの異なるレベル、プラチナ、ゴールド、シルバー 、ブロンズで企業、組織に与えられた。これらの対象は、製品または技術、アプリケーション、あるいは研究開発で優位性を示した企業、組織である。
 審査は、以下の点で判断された。独創性、革新性、設計者、システムインテグレータまたはユーザーへの影響、新しい市場ニーズを足しているかどうか、斬新な技術の活用、あるいはまた生産性の向上である。
 この2年目となるイノベーターズ・アワードプログラムを祝う目的でLaser Focus Worldは全受賞者のために、2019年11月18日にウエブキャストセレモニーを実施した。ここでは受賞者の言葉に基づいて、受賞者の2019グループが、フォトニクス製品とアプリケーションの最先端にあることを見てゆこう。

プラチナレベル受賞者

レーザ&光源
Hyperion VUV

ハイペリオン(Hyperion)VUVは、真空紫外(VUV)光を発する初の商用フェムト秒レーザ光源。これにより研究者は、前例のない柔軟性で、また超高速時間スケールで材料や分子の特性を調べることができる。その光源の離散的可変性は、コンピュータで選択してフォトンエネルギーを簡単に変えられる。それは、これまではシンクロトロンでしか利用できなかった強力な機能である。レーザ波長の容易な変更機能は、多くの実験を強化することができる。光源は、高い合焦能力もあり、また適切なオプティクスで、スポットサイズ10μm以下が得られる。パルス幅250fs以下であるので、その光源により研究者は分子や材料の超高速動力学を調べることができる。また繰り返しレート1MHzにより、データの迅速収集ができ、空間電荷効果を回避する。
米KMLabs社

KMLabs社

KMLabs社のHyperion VUVフェムト秒レー
ザ光源

分光
クラウドとAIベースXI-スマートハンドヘルドラマン分光計

XIは、クラウドAIベースラマン分光計。 785nmレーザ励起で、Cloud minds Data A1 Androidスマートフォンと完全に統合されている。Tensor Flowを活用することで、このハンドヘルドラマンは、AIディープラーニングアルゴリズムを採用し、3種の固体あるいは液体物質の混合物でも高精度、迅速にデータ解析(<40ms)ができるの で、フィールドアプリケーションに適 したソリューションである。例えば、捜 査機関や現場での薬物検出の最初の応 答者にリアルタイムで、薬剤原料ID、 QA/QCプロセス制御、偽造品検出とい った中央データ管理が重要なアプリケー ションにソリューションを提供できる。
米CloudMinds Technology社

CloudMinds社

CloudMinds社のXI Smart Handheldラマン分光計

レーザ&光源
ライダ向け高出力、多チャネル超高速レーザドライバ

ライダ技術の1つの問題は、高いピークパワーを維持しながら、短パルスでレーザを伝送できないことだった。ライダが、長距離で高分解能でありながらアイセーフであることを保証するには、これは必要なことである。この要求に対処するために独オスラム社(Osram)は、GaN Systemsと協力して、1nsパルス立上り時間のレーザドライバを開発した。併せて、全4チャネルをおのおの40Aで駆動し、光出力は持続的に480Wである。<3ns FWHM波形、パッケージは小型で、 熱効率に優れた設計となっている。
オスラムオプトセミコンダクターズ社

オスラムオプトセミコンダクターズ社

オスラムオプトセミコンダクターズ社の超高速レーザドライバ

ゴールドレベル受賞者

産業用レーザシステム
Corona

変化するビーム特性への一般的なアプローチ、例えばモーター式フリースペースオプティクスやビームコンバイニングなどは、システムサイズ、コスト、複雑性の増加となる。Coronaは、ビーム品質を迅速に可変(可変BPP)できる革新的な新しいファイバレーザ。斬新なオールファイバ機構を使ってレーザ出力ファイバから直接ビーム特性を変えることで、前例のない多様なプロセス、材料、アプリケーション向けに最適ビーム特性が達成可能である。リアルタイムプログラマビリティにより、単一のレーザ光源を使って、各工程段階の即時調整と最適化が可能であり、ツールインテグレータやエンドユーザーにとっては、ツールの生産性と汎用性を飛躍的に高めるので、有用である。
加エヌライト社

エヌライト社

エヌライト社のCoronaファイバレーザ

レーザ&光源
ALBALUX FM

LEDの確かな効率性と、金属ハロゲン化物およびキセノンの高輝度、ナロービームを統合したALBALUX FMは、豊かなコントラストと精密照射を提供する。SLD LaserのLaserLight技術を特徴とする特許の可視光レーザダイオード励起蛍光体光は、1000カンデラ/mm2LEDの100倍の強度を生成する。最適化されたファイバオプティ
ック結合により>150ルーメンの白色、インコヒーレント光の最高発光を保証する。これはLED光源の1/10ビーム角度である。高い光密度とナロービーム角度を組合せ、モジュールの高コントラストと指向性照明は、医療、マシンビジョン及び特殊照明アプリケーションに最適である。
独Laser Components USA社

Laser Components USA社

Laser Components USA社のALBALUX FMレーザ

テスト&計測
Near-Infrared Intensity Lens System

米ラディアントビジョンシステムズ社(Radiant Vision Systems)のNearInfrared(NIR)Lens Systemは、顔認識用に使用されるNIR放射光源(LED、レーザ)の精密評価向けにフーリエ光学レンズと16メガピクセルCCDラディオメタを統合している。システムは、単一画像で±70°の角度データを取り、発光強度やドットパターンを効率的に分析する。同システムのレンズは、NIR光源からの各放射角をイメージングシステムのCCDへマッピングし、2D極座標プロットをとる。これは、放射強
度、パワー及び放射フラクスの不一致をNIR放射の全範囲で3D空間評価をするために使用される。
ラディアントビジョンシステムズ社

ラディアントビジョンシステムズ社

ラディアントビジョンシステムズ社のNearInfrared(NIR)Intensity Lens System

レーザ&光源
AO-500 High Power High Brightness Blue Laser

AO-500は、ファイバデリバー高出力高輝度ブルーレーザ。変調範囲500Hzまでで、450nm、最小500W CWを出力する。青色の高吸収により、AO-500は、黄色金属をスパッタフリーで溶接できるので、溶接と接続の機械的、電気的性能が飛躍的に改善される。銅や金などの黄色金属の高品質、低スパッタ、スパッタフリー溶接ができるAO500は、加工パフォーマンスを飛躍的に改善する。400μmファイバは、QBHコネクタ付であり、一連の溶接レンズとともに提供されるので、顧客にとっては完全な溶接オプトメカニカルソリューションとなる。
米ヌブル社

ヌブル社

ヌブル社のAO-500ハイパワー高輝度青色レーザ

オプティクス
Flexible Wavelength Selector(FWS)Poly

FWS Ployはコンパクトな自動デバイス。10mmまでの円形開口で中心波長と帯域調整ができる。可視スペクトルで、独立した中心波長、帯域可変範囲、高伝送効率を達成。デバイスは、スペクトルイメージング用にカメラとともに用いる、あるいは可変照明光源用には高帯域光源とともに利用できる。コリメートされた光ビームと組み
合わせて、デバイスは350 ~ 900nmで中心波長をチューニングし、ソフトウエアとUSBで3 ~ 15nm帯域を調整する。アプリケーション範囲は、ハイパースペクトルイメージング、蛍光顕微鏡、ライフサイエンス計測器、マシンビジョンから実験室まで。
米Spectrolight社

Spectrolight社

Spectrolight社のFWS Polyフレキシブル波長セレクタ

ソフトウエア
高歩留まり最適化

従来、光学設計のコンピュータ最適化は、数値メリット関数を使用して、シミュレートしたシステムの光学性能を表している。伝統的設計アプローチは、設計上の正常なパフォーマンスを最大化し、次のステップで製造公差を公称パラメータに追加、結果的に製造時にシステムが仕様通りに機能するように調整する。新しい方法、高歩留まり最適化は、製造欠陥を最初から設計プロセスに組み込むことにより、従来法を改良し、製造した時に優れた性能を持つ設計を生み出すことができる。製造欠陥を設計後の段階として加えるのではない。
米Zemax社

Zemax社

Zemax社のHigh-Yield Optimization光学設計ソフトウエアアプローチ

シルバーレベル受賞者

フォトニックコンポーネント製造装置 MRSI-HVM Die Bonder
HVMシリーズダイボンダによりユーザーは、1つの装置からスピード、柔軟性、精度が得られる。3シグマ精度で±1.5μmは、フォトニックコンポーネント集積密度のレベル向上を可能にする。組み込まれたタレットは、最大12チップまでを保持し、即時ゼロタイムで工具交換するので、マルチダイ、マルチプロセスを処理することができ、
また複数の生産物をすばやく増やせ、変化する市場状況に適応することができる。合焦ステージ、エポキシディスペンス及びUV硬化、並列画像処理のためのマルチカメラは、その他の機能においても、アセンブリ歩留まりの向上に役立ち、無駄の削減、製造コスト低減にも役立つ。
米MRSI Systems社

MRSI Systems社

MRSI Systems社のHVMシリーズダイボンダ

レーザ&光源
適応型RGBピュアレーザ

この低コストでロバストな3レーザダイオードエンジンは、適応性があり、コンパクトになるように、また、優れたパワーとスペクトル安定性を保証するように注意深く設計されている。調整可能な横方向とチルト配向という特性、ガラスキューブの対称性、単一の機械的剛性のある光学素子は、3つのレーザビームを1つのポートに向かう
ように配置されている。この設計は、ディスクリートのWDMプレートを利用するよりもしっかりしたアセンブリとなるだけでなく、RGBビームの光学経路長を同じにするので、ビーム広がりの少ないバランスのとれたスポットサイズが実現する。製品は、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)産業に最適であり、光学エンジニアにとっては、表面リリーフとホログラフィック導波路のパフォーマンスを最適化する重要エレメントになる。
加OZ Optics社

OZ Optics社

OZ Optics社の適応型RGBピュアレーザ

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2020/01/p16_innovators_awards.pdf