500倍低吸収グレーティングコンプレッサ用の新グレーティング

米ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)の先 端フォトンテクロジー(APT)プログラムのチームは、超短レーザパルスの圧縮のためのグレーティング設計でブレイクスルーを達成した。研究チームは、56nm帯域幅、中心波長810nmで97%を上回る効率で1480ライン/mmグレーティングを作製した(1)。
 独自の多層誘電体(MLD)設計を用い、研究チームは、広く利用されているゴールドグレーティングに対して2つの大きな進歩を達成した。まず、広い帯域で大幅に強化された回折効率、2番目に高い平均パワーの超高速レーザアプリケーションに重要な品質、500倍低吸収である。同時にナノ秒領域の損傷しきい値は>4Xに大幅強化されており、フェムト秒パルス幅では、ゴールドグレーティングに匹敵する。
 研究チームの実際的目標は、高繰り返しレート、メガワット平均パワーのフェムト秒パルス増幅スキームでのパルス圧縮用グレーティングの作製であった。わずか数年前、同じチームがダイオード励起高繰り返しレートの先端的ペタワットレーザシステム(HAPLS)をチェコのELI研究所に導入した。 HAPLSは、繰り返しレート10Hz、30Jエネルギーで、30fsパルスを生成するように設計されている。これは、平均出力300Wに相当し、圧縮前では420W相当である。
 そのシステムは、回折効率が強化されたゴールド被覆誘電体リッジグレーティングを採用した。しかし、ゴールド層は約3.5%の吸収があり、これはグレーティングあたり約15Wの熱負荷になった。グレーティングは真空内にあったので、能動冷却が必要とされた。HAPLSグレーティングは、大きな進歩を示すものだった。グレーティングに適用されるパワーを大きく制限する、下層のゴールドオーバーコートフォトレジスト層を排除した新技術を用いて製造されたからである。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2019/11/010_wn_ultrafast_laser_optics.pdf