シリコンフォトニクスに対処する自動ウエハレベル・プロービング

ジョー・フランケル、カズキ・ネギシ、マイク・シモンズ、ダン・リシャビィ、エリック・クリステンソン

完全集積、自動化・プロービングシステムによりシリコンフォトニックチップの設計者は、かつてないほど迅速に設計の評価と品質認定ができるようになる。

チップ設計者は、増え続けるデータレートに圧迫されており、データ伝送手段として赤外光信号による波長分割多重(WDM)の利用は、CMOSシリコンベースのデバイスにますます解決を見いだそうとしている。「シリコンフォトニクス」(SiPh)と呼ばれるこの技術は、従来の電気インタコネクトを置き換えるためだけでなく、ライダ、量子コンピューティング、バイオセンシングを含む幅広い範囲のアプリケーションにも利用されつつある。
 チップ上に光コンポーネントを集積することは、SiPhデバイスのウエハレベル・プロービングに多くの新たな課題と要求を生み出す。設計をコンセプトから品質認定、製造まで進めるには、膨大な量のデバイス性能データが必要になるからである。研究室で初期のプロトタイプに取り組んでいる間は、計測のために1個のデバイスのセットアップやアライメントに数分、場合によっては数時間を費やしても問題ない。しかし、そのような労力と時間を集中する方法は、SiPh量産サイクルタイム要求にはふさわしくない。
 素早いプロセスフィードバックを得てこれらの設計を次のレベルに進めるには、スループットの大きな前進が求められている。加えて、入出力(I/O)計測は、ナノメートルオーダーの精密アライメントで行われなければならない。シリコンに作製される光回折格子や光導波路の効果的な開口寸法は、従来のプロービングシステムでは、前例がない精度だからある。
 デバイス技術は、単純な伝送線からO/Eコンバータ、光変調器、さらにそれを超えて進化するので、製造メーカーは遅滞なく、プローバプラットフォームを作らなければならない。それによってチップ設計者は、急速に成熟していくSiPh設計をテストし改善することができる。2017年にスタートした、米フォームファクター社(FormFactor)は、多彩なSiPhアプリケーションをサポートするウエハレベル・プロービングソリューションを開発した。同社は、急速に進化するSiPh産業をサポートするロードマップを展開している。

プロービング・アプリケーション

シリコンフォトニクス・プロービング・アプリケーションは、一般に次のように分類されている。モデリングと特性評価、ウエハ受入試験、または製造工程モニタリングのいずれかである。これらのアプリケーションカテゴリのおのおのは、正確さ、スループット、試験の柔軟性に、それ固有の相対的重要度が示されている。
 モデリングと特性評価アプリケーションは、デバイス、あるいはその一部の設計とシミュレーションに使用するモデルパラメータを抽出しようとする。この場合、精度が重要であるが、スループットは、それほど重要でない。モデリングは、デザインエンジニアリング活動だからである。
 ウエハ受入アプリケーションは、チップデザインのパフォーマンスを評価し、基板全体でデバイスの機能、再現性、パフォーマンスを調べる。この場合、精度とスループットのバランスが重要である。製造プロセスが、多くのデバイスのサンプルで実証できるようにするためである。
 インラインプロセス・モニタリングアプリケーションは、ウエハ製造工程を連続的に評価し、製造フローでどんな欠陥でも見つけようとする。プロセスモニタリングは、量産アプリケーションであるので、計測は、スピードに最適化される傾向がある。一方、検査は最小数の測定基準である。

(もっと読む場合は出典元へ)
出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2019/05/016-018_ft_silicon.pdf