フォトニクス技術はBeyond 5G社会の実現にいかに貢献するか!

川尻 多加志

光協会 副理事長兼専務理事 小谷泰久氏

光協会 副理事長兼専務理事 小谷泰久氏

光協会、平成30年度の光産業技術シンポジウムを開催!

目の前に迫った5G時代、我々の生活は大きな変革を遂げようとしている。そして、さらに先のBeyond 5G、果たしてどんな未来が待ち受けているのだろうか。
 2月20日(水)、リーガロイヤルホテル東京(東京都新宿区)において、平成30年度の光産業技術シンポジウムが開催された(光産業技術振興協会(光協会)ならびに光電子融合基盤技術研究所(PETRA)主催)。今回のテーマは、注目を集める「Beyond 5G社会を支えるフォトニクス技術」であった。

4Gから5G、そしてBeyond 5Gへ

5G技術は、現在の4Gよりも圧倒的な高速大容量、多数同時接続、低遅延を実現する。高速大容量は4Gの1Gbpsから20Gbpsへ、多数同時接続は10万デバイス/km2から100万デバイス/km2へ、さらに低遅延は10msから1msにレベルアップする。これがBeyond 5Gになると、高速大容量は100Gbpsへ、多数同時接続は100万デバイス/km2をケタ違いに超え、遅延は0.1msという高いスペックが求められるという。
 シンポジウムでは、各分野のエキスパートが5G、Beyond 5G時代における光技術の役割と進むべき方向性について貴重な提言を行った。以下に、その講演タイトルと講演者を記し、講演内容を概説する。

光技術の貢献

◆「開会挨拶」…光協会 副理事長兼専務理事 小谷泰久氏
 小谷氏は、シンポジウムの一昨年のテーマが自動車と光技術であり、昨年はAI・IoTと光技術だったと振り返りつつ、ビッグデータが流通するなか、その収集、伝送、処理の3つの流れが非常に重要になってくると指摘した。
 その上で、情報収集場面ではイメージセンサやバイオセンサといった光センサ、情報伝送場面では5G時代の無線通信技術に対応する情報通信システム、情報処理場面では省エネを実現する光集積回路や高速光スイッチなど、光技術はこれらすべての場面において重要な役割を担っていると述べた。
◆「来賓挨拶」…経産省 商務情報政策局 情報産業課 課長 菊川人吾氏。
 菊川氏は、昨年の「インターオプト」を見学して、光技術の社会実装を実感できたと述べるとともに、5Gの社会実装も眼の前に来ていると改めて感じていると語った。
 また、「Beyond 5Gに向けた次世代ネットワークの光テクノロジーロードマップ」の作成など、光協会の先駆けた取り組みに期待をするとした上で、PETRAの行っているプロジェクトやその研究成果の事業化などを例に挙げ、関係者の研究開発と社会実装のスピードについて行けるよう、政策サイドからもしっかりと支援をしていきたいと述べた。さらに、社会実装が進めば進むほど、セキュリテイをどう確保して行くかが重要であり、政府調達を含め、政策を展開して行くと語った。
◆基調講演「5G、Beyond 5G時代の新たな『ワクワク』の創造」…KDDI理事 技術統括本部 新技術企画担当宇佐見正士氏
 宇佐美氏は、5Gを用いた自動運転車の遠隔管制や建機の遠隔操作、自立飛行ドローンによる米づくり・酒づくり、マグロの養殖基地、除雪車運行支援などの実証実験を紹介。同社が提案する、さまざまなライフシーンで5Gを用いて「ワクワク」を感じる体験の技術検証例として、5Gスタジアムや音のVR、バーチャルキャラクター「レナ」などを紹介した。
 同社では、Beyond 5G / IoTの取り組みとしてビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」を東京・虎ノ門にオープンしており、ベンチャーとのコラボも推進しているとのことだ。テレイグジスタンスを用いたアバターロボットもビデオで披露した。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2019/05/046event.pdf