フォトンは素晴らしいビジネス ー 晝馬明氏に聞く

コナード・ホルトン

浜松ホトニクス株式会社 代表取締役社長 晝馬 明氏

浜松ホトニクス株式会社 代表取締役社長 晝馬 明氏

11月の初めに浜松ホトニクスの招待を受け、3日にわたる技術と未来像を見据えた同社最大のイベント、PHOTON FAIRに参加するため日本を訪問した。フェアは5年に一度、東京から南西に約250キロの浜松市にある本社の近くで開催される。数千を越える顧客、サプライヤー、学生などの参加者に加えて、最終日は一般公開され、同社の研究所から生まれたばかりの多くの技術と、これらの技術が生命科学から輸送・製造業などの分野に与える影響などが紹介された。
 40ものテクニカルセミナーが開催され、トヨタ自動車先進技術開発カンパニー常務理事の鯉渕健氏や、米カリフォルニア大アーバイン校、ブルース・トロンバーグ教授(国立生物医学画像・生物工学研究所の次期所長でもある)などが講演を行った。同教授は、個人の健康管理用のウェアラブルデバイスとベッドサイドデバイスについて語った。浜松ホトニクス代表取締役社長、晝馬明氏は次世代光技術を基盤としたイノベーションについて講演した。講演後、取材の機会を得た。同氏は米ラトガース大(Rutgers University)を卒業後、浜松ホトニクスの米子会社に勤務し経営にも携わり、滞米生活は30年余りにわたる。光部品サプライヤーとしての今後の展望について話を聞いた。

―PHOTON FAIR会場では、多くのすばらしい技術が目についた。初めて見るものもあった。個人的に関心を寄せている技術はあるのか。

個人的にはiPMSEL(integrable PhaseModulating Surface-Emitting Lasers)だ。多くの有望な応用が期待できるデバイスで、興味深い点はデバイス自体だけでなくその開発過程にもある。通常、中央研究所では、グループのトップが遂行するプロジェクトを決めるが、このケースでは、40歳以下の若いエンジニアに世界を変えてしまうようなアイデアを出すように求めた。するとこのプロジェクトが提案されたというわけだ。レーザと空間光位相変調器の両方を作ることができるのが我々の強みであり、それらを1つのパッケージにまとめることができる。今後の開発に大いに期待している。

―エンジニアが見せてくれたデモアプリの動画には、とても奇抜な印象を持ったが、可能性はあるのか。

それが実際に我々のやり方だ。眼鏡を必要としない3次元ディスプレイを作る、というまずかなり高い研究目標を設定する。大変な困難なことではあるが、開発を進めるうちに他のアプリケーションを見つけることもある。確かに「奇抜」かもしれないが、研究者には目標を高く設定し、実現に向けて開発を進めるなかで、存在すら知らなかった新しいアプリケーションを見つける、という考え方と能力を持ってほしい。例えば、iPMSELが「カプセル内視鏡搭載レーザメス」に応用されるかもしれない。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2019/01/lfwj1901_top_interview.pdf