トリコーダーを追いかけろフォトニクスベースの非侵襲的ヘルスモニタリング

エディック・U・ラファイロフ、エフゲニー・A・ゼレブツォフ、セルゲイ・G・ソコロフスキー、ビクトール・V・シディロフ、イリア・E・ラファイロフ

レーザドップラーフローメトリとスペクトルバイオマーカーモニタリングは、非侵襲的な医療診断や治療を目的に「トリコーダー」を求めるフォトニクス技術である。

個人の健康問題は、世界中の人々が共有している関心事だ。ほとんどの人は、医師のところに行きたくない。ならば、もしそうする必要がなくなったらどうだろう。光学とフォトニクスの技術は進歩し、非侵襲的なヘルスモニタリングや診断は、もはやサイエンスフィクション作家の想像の産物ではない世界を作りつつある。そのようなデバイスや技術を、現実の科学者や技術者が現在開発を続けている。
 定期検診や血液検査は、気づかないうちに病気が進行していないか確認する効果的な方法だが、残念ながら、すべての人が予防ケアに簡単にアクセスできるわけではない。さらに重要なのは、すでにフルタイムで働いている人にとって、医師に頻繁に通うことは経済的に負担の大きい健康制度である。それゆえ、非侵襲的な技術は、致死的な疾患をより早期に発見する(患者にとって事実上よい予後につながる)機会をもたらすだけでなく、治療現場で多くの患者を素早くモニタリングしたり、ハンドヘルドのデバイスを用いることで医師に通う必要性をなくして自宅で個人をモニタリングしたりする可能性ももたらす(1)。
 ハンドヘルドの医療診断・モニタリング装置の大きな将来性は、クアルコム・トリコーダー・Xプライズ競技がきっかけとなった。この競技では、睡眠時無呼吸、心房細動、肺炎、尿路感染などを含む使用者の状態を診断する非侵襲的技術デバイスの開発に対して、これまでに470万ドルが支払われている。研究者や技術者は、このような記念碑的偉業を達成する手段を模索中だ。

どう実現するか

無数の光電子工学的・化学的アプローチは可能であるものの、最重要かつ最も効果的な非侵襲的手法の1つは、フォトニクスベースの技術応用である。有機組織における膨大な生物学的対象物と光の相互作用は、生物医学的応用に用いられるフォトニクスベース技術のすべての基礎となる(2)。
 しかしながら、光の性質のため、有機物との相互作用は3つの状態を作る。1つ目は光破壊的状態(光の熱的、流体力学的、光化学的相互作用による組織破壊)、2つ目は光物理的・光化学的状態(光による組織内の原子や分子の励起)、3つ目は非摂動的状態(光による組織状態が変化しないこと)である。これらの相互作用はそれぞれ、手術目的、治癒目的、診断目的に利用される。しかし、非侵襲的なモニタリングや診断ツールを設計する上では、最後のものが重要となる。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2019/01/lfwj1901pa_noninvasive_medical_diagnosis.pdf