超解像度顕微鏡の振動雑音制御法

リード・ホイットニー

現地調査からアクティブ振動制御まで 、段階を踏むと 、超高分解能顕微鏡を安定に保ち 、すぐにもデータを収集できるようになる。

振動雑音は、一般に超高分解能顕微鏡を使用している研究者のワークフローを妨害し、サンプルの処理の進行、利用可能なデータの収集を制約する。振動ノイズの存在は、完全な顕微鏡ベースの研究プロジェクトに必要なコストと時間に大きく影響する。その結果、振動ノイズをコントロールする重要ステップを理解することが重要になる。
・ステップ1:周囲振動ノイズを明確にする
・ステップ2:緩和ソリューションを研究する
・ステップ3:震動源を分離する
・ステップ4:顕微鏡を振動から隔離する
 これらのステップをたどることで、研究者はワークフローの効率を高め、最も重要なこと、自身の研究に立ち返ることができる。

周辺振動ノイズの特定

現地調査:現地調査は、ノイズプロファイルの明確化に役立つ。部屋、計測振動、音響干渉、あるいはまた特定計測プロファイルでの電磁干渉(EMI)ノイズである(図1)。現地調査は、環境コンサルタント、データ取得システムやセンサ(加速度計、マイクロフォン、磁気探知器)を使い現場の専門家が行うことがよくある。これらの計測は、瞬時に環境雑音を捉え、部屋の基準ノイズの予備的理解に適合する。
 現地調査は、ノイズを理解するために行われる。それが顕微鏡のノイズ耐性、つまり最大許容環境仕様に関連するからである。これは、顕微鏡の適切な動作を保証するためにメーカーによって規定されている。収集されたノイズは、顕微鏡のノイズ仕様と対比し、環境が仕様に適合しているかどうか、環境を使用範囲にするために代替的測定が必要かどうかを決める。
データロギング:所定のラボ内のノイズ変動が低いとき、時間内の単発のノイズ計測は、部屋のノイズプロファイルの理解には十分である。しかし、周期的ノイズ源あるいは判定が難しいノイズ事象が存在する場合、データロギングが、研究者が考慮すべきより適切なアプローチである。
 データロギングは、環境ノイズ長時間(例えば、24時間かそれ以上)計測する現地調査である。このプロセスは、周期的に起こるノイズを特定するために行われる。つまり、最終的に選択される振動制御アプローチタイプの構想に役立つ情報である。データロギングは、局所的に実施できる、あるいは遠隔モニタできる。データロギングの難しさは、1つは特定データと個々のイベントとの整合である。加えて、困難のレベルは、どんなデータロギングハードウエアあるいはまたソフトウエアが使用されるかに依存することである。

図1

図1 この現地情報形式で示したように、現地調査実施成功には、基本的な情報が必要である。部屋の詳細、局所的雑音源、顕微鏡の詳細と位置決め、それに現地調査の実施方法 。

緩和ソリューションの研究

顕微鏡の移転:ノイズへの対処で最も安価で一般的な方法は、導入される顕微鏡に、周辺ノイズフロアが低い新たな場所を見つけることである。そうすれば、研究者はノイズ源あるいは顕微鏡の緩和ソリューションを見つける必要がなくなる。ソリューションは一般にお金がかかり、研究の時間を奪う。
 研究者がこのオプションを追求しない第一の理由は、ノイズプロファイルが低い研究室のスペースに関しては、選択肢がないことである。同様のノイズ問題を抱える近くのラボか、一般に顕微鏡の設置に利用できる場所が存在しないか、いずれかにより、選択は決まってくる。雑音源の隔離:第二緩和ソリューションは、予備計画段階で顕微鏡メーカーがよく直面することがあるが、顕微鏡に加わるノイズ源を他の部屋に隔離することである。音が大きなスクロールポンプ、エアジェネレータ、あるいはエレクトロニクスキャビネットであろうと、データ収集中に重要でない補助的ハードウエアは、顕微鏡のワークスペースから切り離して、別の部屋、あるいはクローゼットに設置するのがベストである。
ラボの変更:3番目の緩和ソリューションは、最もコストがかかると考えられるが、ラボそのものの構成を変更することである。顕微鏡下の床板の変更、壁への音響パネルの取付、あるいは部屋のRF遮蔽を含むいずれであっても、ラボの変更は、完璧なソリューションかもしれない。しかし、大変なコストがかかる。
 このオプションの第一の利点は、個々の顕微鏡がこの変更の利点の恩恵を受けるだけでなく、周囲の顕微鏡も同様に恩恵を受けることである。

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2019/01/lfwj1901ft_vibration.pdf