生検を排除する乳がん診断ツール

超音波やマンモグラフィ検査による早期発見と診断は、乳がん治療をうまく進める上で重要な要素となる。しかしながら、この従来のイメージングテクノロジーは、大きさ、形、場所、および深さといった乳房内の腫瘍の形態を表示するだけである。しこりが悪性かどうかを正確に測定するには、いまだに生検が必要であり、これは患者に苦痛やストレスを与え、快復には時間がかかり、費用もかかる。一般的に医師は慎重すぎる傾向がある。生検を実施した患者の病変の71%もが良性だったという事実もあり(1)、特に乳房深くにしこりがある女性にとっては、精神的に大きな負担となりかねない。
 こうした問題を克服するために、米セノメディカル社(Seno Medical)のエンジニアは、非侵襲イメージングの精度を高め、多くの患者が苦痛な思いをしなくて済むような新しいレーザベースの装置を開発した。
 光音響と超音波を統合したImagioブレスト&イメージングシステムという装置は、腫瘍の組織を明らかにすると同時に悪性の可能性をも表示する非侵襲イメージング手法を開発することによって、乳がん診断の質を向上させたいという思いから生まれた。悪性腫瘍は血液循環に異常を引き起し、血管新生によって腫瘍は急速に大きくなり、また腫瘍の成長により内部の血液は周囲の正常な組織よりも概して低酸素状態になる。そのことから、同社が開発したImagioは、標準的なグレースケール超音波にレーザベースのシステムを組み入れており、血管の密度と特定の場所の血液の酸素量を画像表示できる。
 この光音響技術のシステムはBモードで診断する(図1)。従来の超音波プローブに似たハンドヘルドのファイバカプラ装置で乳房をスキャンする。超音波の信号を解析するだけでなく、この装置は2種類の異なる波長でナノ秒パルスの近赤外(near-IR)光を乳房に照射する。パルスレーザは、Nd:YAGレーザとアレキサンドライトレーザから成るカスタムQスイッチレーザである。レーザは、ケーブル型のファイババンドルを経由してハンドピースに結合される。

図1

図1 超音波検査では、凹凸不整で微細分葉状のため、当初BI-RADS4aカテゴリーに分類されたしこり(a)は、Imagioシステムシステムで、内部と被膜管は良性であることがわかり、最終的にBI-RADS3カテゴリーに下がった(b)。(画像提供:セノメディカル社)

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出典元
http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2019/01/lfwj1901wn_optoacoustic.pdf