業界最高の光出力130mWを実現した520nm緑色半導体レーザ

井上 憲人

シャープは、業界最高の光出力130mWを実現した緑色半導体レーザ(GH0521DA2G/GH051DA5G)のサンプル出荷を2018年8月、量産を2018年10月より開始する。
 今回発表の製品は、昨年9月に発表した製品と比べて、共振器長を2倍以上にすることで高出力を達成し、結晶成長時のウエハ面の均一化など、結晶
欠陥を抑える技術により長波長化を実現している。


主な特長
・緑色の半導体レーザにおいて、同社従来モデル(*)の約4.3倍にあたる、業界最高の光出力130mWを実現(図1)。(*)従来モデル<GH05130B2G/GH05130B5G>は、30mW、515nm。
・光波長を520nmに長波長化し、色再現性を向上。BT.2020カバー率90%以上を実現。
・直径5.6mmの標準タイプと、ディスプレイの小型化ニーズに対応する直径3.8mmのコンパクトタイプをラインアップ。

図 1

図 1 緑色レーザ、新旧の違い。左が従来品、波長515nm、光出力30mW。色がやや青みを帯びている。それに対して、右の今回発表の緑色レーザは、波長520nm、光出力130mW。色は従来比でよりピュアグリーンに近く、スクリーンに映し出された光も力強い。BT.2020カバー率では、新製品520nmにより93.5%となる。従来品で88.3%。ピュアグリーンにするには、さらに長波長化を進めていく開発が必要。

 シャープのターゲットアプリケーションは、スマートプロジェクター、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)など、マイクロおよびピコプロジェクター市場。
 シャープ電子デバイス事業本部レーザー事業部企画部、田中智毅部長によると、小型レーザプロジェクターで求められる光束は100lmであるが、今回発表の製品は、屋内用途70lmのモデルに対応している。
  また長波長化(520nm)により、BT.2020(ITU-R RecommendationBT.2020)カバー率が93.5%に向上した。昨年9月発表のモデル、波長515nmでは、同カバー率は88.3%にとどまっている(図2)。

図2

図2 長波長化(520nm)により、BT.2020(ITU-R Recommendation BT.2020)カバー率が93.5%に向上した。昨年9月発表のモデル、波長515nmでは、同カバー率は88.3%にとどまっている。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2018/07/wn_laser_diodes.pdf