平成29年度光産業技術シンポジウム開催

川尻多加志

今年のテーマは「AI・IoT時代を支えるフォトニクス技術」AIや IoT、ビッグデータは光技術に何を望むのか

光協会 小谷泰久氏

光協会 小谷泰久氏

2月7日(水)、東京・新宿区のリーガロイヤルホテル東京において平成29年度の光産業技術シンポジウムが開催された。主催は一般財団法人光産業技術振興協会(光協会)と技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)。37回目を迎えた今回のシンポジウムテーマは、注目を集める「AI・IoT時代を支えるフォトニクス技術」だ。
 AIやIoT、ビッグデータなどが急速に進展する中、光技術の発展はそれらを支える基盤技術として、さらには我が国の産業や社会を牽引する重要なイノベーションを生み出す技術として各方面より注目を集めている。このような状況の中で開催された今回のシンポジウムでは、AIを指向したスーパーコンピュータや機械学習プラットフォーム、トリリオンIoT、AI・IoT時代の光技術戦略およびAI・IoTに活用できる超小型シリコンフォトニクストランシーバなどについて、各分野のエキスパート達が最新の研究動向を紹介し、我が国の光産業・技術が進むべき方向についても言及された。
 光協会・副理事長兼専務理事の小谷泰久氏は冒頭挨拶において、前回のシンポジウム「未来の自動車・ロボット・産業機器を支えるフォトニクス」から生まれた成果として、昨年光協会内に自動運転や移動体に関連するセンサ、カメラ、車載ネットワーク、測距技術、情報処理技術を議論するための「自動車・モビリティフォトニクス研究会」が設立された事を報告。今回のシンポジウムでは、政府が掲げる第4次産業革命やコネクテッドインダストリーズにおける主要技術であるAI、IoT、ビッグデータに光技術が役立つのではないかという観点から「光関係のユーザーであるスパコンや機械学習、トリリオンIoT分野の方々から、光に何を望むのかをテーマに取り上げた」と述べた。
 来賓挨拶で登壇した経済産業省・商務情報政策局情報産業課課長の成田達治氏は、政府はAI、IoT技術を用いて社会課題を解決するため、コネクテッドインダストリーズのコンセプトのもと、さまざまな政策を糾合して、人手不足や高齢化、エネルギー・環境問題といった我が国が抱える問題を解決するとしたうえで、その実現のために政策資源を投入すると述べた。さらに日本の強みであるリアルデータを持つ大企業や中堅企業と、新しいAIテクノロジーを持つベンチャー企業のコラボレーションをサポートする施策も予算案に盛り込んで行きたいと表明。成田氏は、社会実装に関しても自動車やプラント、家庭といった分野を特定しながら実証事業を進めて行くとともに、IT投資減税等の支援策も進めて行きたいとして、政府としても光技術の重要性は認識しており「エッジやクラウド、データ伝送分野において光技術の活用をどのように戦略的に進めて行くのか。特にクラウド側の次世代コンピューティングにおける光スイッチの実現が重要」との認識を示した。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2018/03/event_OITDA.pdf