分光計測に適した広帯域集積Mid-IRマッハツェンダ干渉計

多くのフォトニックアプリケーションが中赤外(mid-IR)スペクトル領域の光の利用を基盤にしている。たとえば、フリースペース光通信は、3 ~ 5および8 ~ 13μmの大気透過ウインドウを利用する。また、吸収帯域が、2 ~ 20μmのいわゆるフィンガープリント域にある有機物質の分析に、多様性があって重要な分光技術領域が活用される。
 Mid-IR光計測器は一般にバルク光学システムをベースにしており、これは機能はよいが、大きく複雑で高価になる。Mid-IRのアプリケーション、特に分光計は、光集積回路(PIC)への変更によって実現する光学系の微小化の恩恵を受ける。
 多くのmid-IR PICコンポーネントがすでに設計され実証されている。これらは、カルコゲナイドガラス、ゲルマニウム・オン・シリコン(Ge on Si)、シリコン・オン・サファイア、ゲルマニウム・オン・シリコンナイトライド、その他など、多様な光学材料で作製されている。これらのコンポーネントには、波長合波器(MUX)、アレイ導波路グレーティング(AWG)、リング共振器、マッハツェンダ干渉計(MZI)、その他が含まれる。とはいえ、これらのどれも1μmを超えるmid-IR波長範囲の機能がなく、従って、真にブロードバンドではない。
 仏パリサクレー大と伊ミラノ工科大の研究者たちは、集積mid-IR導波路MZIを作製することで1μmの帯域限界を破り、3μmのスペクトル動作範囲を実現した(1)。デバイスは、3μm全体で10dBを超える消光比であり、傾斜Si1-xGex基板上に作製されたSi0.2Ge0.8からなる。
 研究者は、Si1-xGexアロイを用いる選択をした。その材料によりバンドギャップ、屈折率、光閉じ込め、分散を大きく制御できるだけでなく、Geは15μmまで透明だからである。つまり、合金がGeリッチであれば、mid-IRの長波長側が利用できるかもしれないということである。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2018/01/wn1_photonic_integrated_circuits.pdf