最先端のアプリケーションに高出力を供給する励起レーザダイオード
レーザダイオードは効率的、狭線幅、高輝度であり、長寿命であるので、理想的なレーザ励起光源となる。また、極めて高出力の光パワーを生成するように作製可能である。
長寿命と小型だけでなく、レーザダイオード(LD)は、既知のレーザ光源の中で最高の電力変換効率を持つ。そのような理由で、レーザダイオードは、最新レーザ技術の基盤の大半を占め、それには2つの使用法も関係する。まず、LDは多くの用途に合わせてUVから中赤外までの波長で発光する。二番目に、LDは多くのタイプの光励起固体レーザにとって、非常に確かな励起光源である。その範囲は、科学から、産業、さらに超高速から連続波まで広がる。同時に、非固体ハイパワーレーザ、ダイオード励起アルカリ金属レーザ(DPaL)用の励起光源でもある。
レーザ励起用のハイパワー LDは、膨大な波長範囲で市販されている、物理的な構成、ビーム特性、その他の品質も豊富である。レーザダイオードの構成に含まれるのは、シングルエミッタ、バー(シングルエミッタの列)、スタック(2Dアレイ)およびパルス出力。そのような多様な製品を短い記事でカバーするのは不可能なので、ここでは利用できるもののわずかなサンプルを紹介するにとどめる。
ハイパワー励起LDの最大メーカーの2社は、周知のハイパワーレーザメーカー、米IPGフォトニクス社(IPG Photonics)と独トルンプ社(TRUMPF)である。とはいえ、これら2社は実際上、励起LDの製品全体を自社のダイオード励起レーザ製品に組み込んでおり、従ってここでは取り上げない。
効率的な設計
マルチkWの固体レーザあるいはファイバレーザを光励起するのに必要なパワーは非常に高いので、効率的な励起光源の設計が重要である。「どんなハイパワーアプリケーションでも、パワー効率は、最重要パラメータの1つである、特に不適切な場所で熱を生成する可能性のある数kWのエネルギーを扱う場合には重要である」と独オスラム・オプトセミコンダクターズ社のシニアマーケティングマネージャー、ペドロ・ムニョス氏(Pedro Muñoz)は話している。「熱は寿命とレーザの性能を縮めるだけでなく、一定パワーレベル達成にはより多くのレーザダイが必要になり、一段と複雑な冷却の設計が必要になる。うまく設計されていないと、非効率なシステムは、通常より高価になり、性能は劣る」。
ムニョス氏の説明によると、効率改善のためには、効率のよいレーザが必要なだけでなく、多様なLD光源や波長からのレーザパワーを効率的に統合しなければならない。「レーザの迷光を回避するために、必要とするところへ光を正しく方向付け、励起材料の代わりにレーザ装置を加熱するようなことがあってはならない。フリースペース結合の設計があるが、これが可能なのは一定のパワーレベルまでである、レーザの冷却と電気駆動要件は、通常、レーザ装置のどこかに設置されたコンパクトな周知のスタックユニットで行われる。エレクトロニクスや熱問題から解放されたレーザ光を供給するために、つまり活性材を励起するには、一般にファイバが用いられる」。
ムニョス氏によると、オスラム社のLDバーは発散角<8°でレーザ光を供給 する、これは高動作電流と熱条件で一定のままであり、実質的にすべての光を小さなファイバコアに結合できる。従って、レーザ装置全体の効率が向上する。
同社は、ハイパワー InAlGaAsベースの、マルチブロードストライプエミッタの赤外(IR)レーザバーを生産している(図 1)。狙いは、固体レーザとファイバレーザの励起(およびダイレクト材料加工)である。標準波長に含まれるのは、808、880、915、940、960、980および1020nm。1060nmは準備中。一般的な出力パワーは、CWで250W、QCWモードで最大500W。OSRAMは、すでに一般的な65%電力変換効率(9xxnmで)を実証しており、量産で>70%ピークである。
「当社は、ファイバ結合用に低フィルファクタレーザバー、CW動作用に50%フィルファクタレーザバー、QCW結合用に80%フィルファクタバーを提供している。レーザバーマウンティング技術を熟知している顧客向けにはマウントしていないバーダイ(バーとして)のみを提供している、マウント作業は極めて難しく、それ自体が特殊技術だからである」とムニョス氏は説明している。
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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2018/01/ft3_pp_high-power.pdf