車両塗装での金属フレークの特徴付けで工業応用されるOCT計測

多くの車は、金属的で輝かしい光沢を出す塗装でコーティングされている。光沢の特徴は、塗装で使われる金属フレークや雲母片の分布や特性によって決まる。最近の車のほとんどは、電気塗装、下塗り、下地塗り、クリアコートという4層のコーティングがなされており、下地塗りにフレークが含まれている。塗装には多くのパラメータがあり、スプレーノズルのタイプ、スプレーのスピードとパターン、空気圧、塗装面からノズルまでの距離などと関係する。自動コーティング処理を微調整するために、自動車エンジニアには、下塗り層のフレークの方向や深さを経験的に特徴付けできることが必要とされる。
 そこで、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)をもとにした計測アプローチは、自動車産業に対して、これまでイメージングが困難だった金属フレークを自動分析する実用的な方法をもたらすことができる(1)。
 フレークのサイズ、重量、形状、そして塗装の粘性は、フレークの方向に影響を与える。自動車産業では現在、品質保証(QA)チェックにおいて、車の塗装を検査するために超音波イメージングを用いている。超音波装置は扱いやすいが、最近の車の塗装で多く使われている金属フレークを効率よく描写できない。さらに、超音波装置は試料と接触する必要がある。これは、塗装業務を止めずにインラインでモニタリングするのに超音波は使えないことを意味する。
 英リバプール大(University of Liverpool)で開発された新しいアプローチでは、塗装内の金属フレークを非接触的に特徴付けるために、時間領域フルフィールド(FF)OCTシステムが使われている。特徴付けできるものには、サイズ(直径は平均約10μm、厚さは平均約1μm)・数・方向がある。
 プロジェクトの研究チームリーダーで、同大のヤオチュン・シェン教授(Yaochun Shen)は、「塗装工程は、製造プロセスにおけるボトルネックである」と話す。「塗装したものが要件に満たない場合、化学的に除去して、車を完全に作り直す。これには、時間と費用がかかるだけでなく、化学系廃棄物を排出して環境問題にも関わる」。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/11/P13_wn3.pdf