カーボンで記録的な2μm超高速レーザの波長可変を実現

モードロックレーザは、多くの科学的、工学的分野で有効な重要ツールである、たとえば光通信、計測、生体イメージング、固体物理学研究などである。超高速ファイバレーザの多くの性能指数(ピークパワー、パルスエネルギー、パルス幅)の中で、波長可変性は非常に価値がある。周波数コム生成、分子吸収ライン検出、時間分解分光学では、エンドユーザーにとってアプリケーションの柔軟性が非常に大きくなるからである。
 一般的な利得材料と可飽和吸収体の帯域が限られているため、モードロックレーザは通常、かなり可変範囲が狭い。例外はチタンサファイア(Ti:Sapphire)レーザで、これは超高速科学の主力製品である。とはいえ、これらのレーザの動作は一般に1μm以下の波長範囲である。1μmを超える波長チューニング機能を利用するには非線形波長変換デバイス、たとえば光パラメトリックオシレータ(OPO)、あるいは増幅器(OPA)を市販のTi:Sapphireレーザの標準的拡張として用いる。しかし設置面積が比較的大きく、保守が面倒であるため、フィールド導入アプリケーションでは、その適用は著しく制限されてきた。

カーボンベースの可変性

2μm程度の広い発光帯域幅を持つ利得材料が過去10年で急速に成熟してきた。中国の南京大の研究者が先頃、非線形ディラック半金属を用いて中赤外(3 ~ 6μm)で動作するレーザを実証し、彼らは今は、カーボンベースのナノマテリアルを使い、コンパクトでローコストの2μmレーザ発振器で記録的なチューニング範囲を可能にしている(1)。特に、彼らが開発したカーボンナノチューブ(CNT)ベースのツリウム/ホロミアム(Tm/Ho)ファイバレーザは、1860 ~ 2060nmまでの200nmで連続可変である。これは、知られる限りで、パッシブモードロックファイバレーザ発振器で、これまでに達成された最も広い可変範囲である。

(もっと読む場合は出典元へ)
出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/11/P12_wn2.pdf