スペクトル域2.5 ~ 9.5μmの超狭線幅中赤外レーザファミリ

米ニューメキシコ大(University of New Mexico)のグループは、新設計の狭線幅中赤外(mid-IR)レーザファミリを開発した。レーザは分布帰還ラマンファイバレーザ(DFB RFL)で、低フォトンエネルギーファイバと言われるガラスファイバに描いたπ位相シフトファイバブラッググレーティング(PPS-FBG)をベースにしている。このファイバレーザファミリは、ギャップなしでスペクトル域が2.5μmから9.5μmに広がる(1)。
 励起はツリウムドープシリカ(Tm:シリカ)ファイバレーザ1.9 ~ 2.1μm発振またはエルビウムドープフッ化物(Er:ZBLAN)ファイバレーザ2.7 ~ 3.0μm発振のいずれかであり、PPSDFB-RFLは、硫化ヒ素(AsS)、セレン化ヒ素(As2Se3)、あるいはテルル(TeO2)でできている。材料と励起レーザの選択によりレーザのチューニングレンジが決まる(図1)。

図1

図1 Tm:シリカファイバレーザまたはEr: ZBLANレーザのいずれかで励起されたラマンファイバレーザファミリの考えられる出力波長を示している。ファイバは、AsS、As2Se3、 ま た はTeO2で造られている。効率的なカスケードラマン波長(1番目から6番目)を色違いで表示。下部に示したのは、TeO2およびAs2Se3ベースのレーザの両方の利用で、入子型TeO2ファイバベースのレーザ、続いて3種の入れ小型カスケードAs2Se3レーザ(下部右に緑の長方形)、これらが超狭線幅波長を7から9.5μmの範囲で生成している。

概念証明

理論研究の目的は3部構成であった、と著者は言う。まず、新しいラマンレーザタイプの実行可能性を実証したかった。次に、シングルモード、つまりこのタイプの単一周波数レーザの最適設計を規定することが目的だった。3番目に、将来の実験に向けてアプローチの概要を述べたかった。
 レーザは潜在的に発展しうる。高ラマン利得の誘導ラマン散乱は、低損失の光ファイバで達成可能だからである。広範なストークスシフトに対応する励起波長で適度な励起パワーを用いることで、ファイバの透過ウインドウのほとんどの波長で達成できる。加えて、カスケードマルチストークスプロセスが新しい波長の可能性を開く。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/09/worldnews01.pdf