このファイバの伝搬時間は、温度変化に感度ゼロ

シングルモード光ファイバは、回折限界的ビーム品質を維持しながら短距離、長距離で光を柔軟にルーティングする必要があるところならどこでも、科学用途、産業用途に使える。幅を広げる必要はまったくない。高速データ伝送、過酷環境でのファイバセンシング、量子通信などの例がある。シングルモードファイバ(SMF)に依存するアクティブデバイスには、ファイバレーザや増幅器などがたくさんある。
 同期の正確なタイミング信号を運ぶようなアプリケーションでは、たとえば、光時計では、温度などの環境的影響によるシングルモードファイバを伝搬するパルスタイミングの変動は望ましくない。温度変動に対する伝搬時間のこのような感度、遅延温度係数(TCD)は、ファイバの伸長や温度の関数としての屈折率の変動で起こるが、これは中実コアファイバで最も顕著である。また、中空コア・フォトニックバンドギャップファイバ(HCPBGF)では著しく低減する。結果として、HC-PBGFタイプのファイバが多くの重要なタイミングベース実験で使用される。しかし、HC-PBGFにさえ残留温度感度がある。

熱的効果の相殺

オプトエレクトロニクス・リサーチセンター(英サザンプトン大)の研究グループは、今回、さらなる努力の結果、熱感度ゼロ(TCD)の光ファイバを開発した(1)。実際に、研究グループは、これだけでなく、負のTCDファイバの設計も理論的、実験的に証明した。
 この成果は、HC-PBGF固有の光学特性、つまりモード群屈折率が減少するようにできるという特性を利用した。したがって、ファイバが温度で伸びると、ファイバ内の光の速度は増加する。正しく行われると、熱的効果とモード群屈折率とが相互に相殺され、まったく温度の影響を受けなくなる。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/09/worldnews03.pdf