モスキート法で円形シングルモードポリマー導波路を作製

高帯域シングルモードファイバは、シリコン(Si)フォトニクス回路のシングルモード性に適しており、データセンターではフォトニクス対応のチップ間を高速に接続する。しかし、これらのファイバと光チップとの接続は、簡単に製造できるタイプのシングルモード光導波路を用いれば容易になる。
 ポリマー導波路は、フォトリソグラフィやUVインプリンティングを含め、製法が多様なため、この目的に役立つ。とはいえ、上の方法を使って名目上シングルモードポリマー導波路を造ることはできるが、円形シングルモードポリマー導波路の作製はもっと難しい。
 慶応大とファーウエイ・テクノロジーズ・ジャパン社(Huawei Technologies Japan)のエンジニアが現在、いわゆるモスキート法を使って高品質円形シングルモード導波路をポリマーで作ろうとしている。目的は、1310nmと1550nm波長での利用である(1)。モスキート法は、当初はマルチモードポリマー導波路作製のために開発され、針で導波路を形成する方法にちなんでそのように名づけられている。
 基板を濃いモノマー液で被覆することから始め、別のより高屈折率の液体モノマーを満たした注射針を被覆に挿入して動かす。これは第2のモノマーの糸を最初のモノマーの中、被覆面の下に一定の距離で堆積させるためである(図1)。その複合構造はUV光で硬化する。研究者によると、全工程は、5cm長、12チャネルのシングルモードポリマー導波路構造の作製に15分前後かかる。

図1

図1 モスキート法では、シングルモード導波路は相対的に高屈折率の液体モノマーを低屈折率液体モノマーに注入針を動かしながら注入することで作製される。その工程を繰り返すことで並列導波路が作製され、そのアセンブリは次にUV光で硬化される。

モスキート法によるシングルモード

研究チームは、コアとクラッドに2つの異なるバージョンのシリケートベース有機/無機ハイブリッドレジンを使用、2つのバージョンの屈折率差は約0.6%だった。レジンは、SUNCONNECTという、日産化学工業社が開発したもので、ハンダリフロープロセスの熱にさえ耐える熱安定性がある。
 モスキート法を使って、オリジナルのマルチモード導波路ではなく、シングルモードを造るために、研究チームはコアモノマーへの吐出圧を下げ、針のスキャン速度を増し、使用する針を細くした。データから、コア径は針のスキャン速度の二乗根に反比例することがわかっていた。針のスキン速度を十分に速くすることで、5μmのコア径が可能になった。設定したスキャン速度は40mm/s、これにより7.9μmのコア径となり、12波長が254μm間隔となった。

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出典元
https://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/07/LFWJ1707_WN1.pdf